確かな温もり ページ15
父親でもなく、親戚の人でもなく、なんの繋がりのない彼だが、あの人以上に私を思案してくれる人はいなかった。フロイドから見た私も、あのような頼れる大人だと映っていたら良いのだけれど。
そう思いながら用意された衣類に腕を通す
「ごめんね、私だけがくつろいで」
「いいんですよ。疲れてるでしょう?」
「まぁ、否定はしない」
「さぁ、好きな肌着を思い浮かべなさい。」
「ははは、なんだかパパ活してるみたい」
「なんですかそれ?」
「......ここの世界、こういったことに関してはホワイトなんだった。ううん、なんでもない。」
「?そうですか」
あっちの世界と一緒くたんにしてはダメだ。
この人は、裏のない好意でしてくれているのだから。
少し、失礼なことを言ってしまったと過去の自分に失望した。冗談でも言ってはいけない事だったと反省する。
「さぁ、いきますよ」
「おねがい」
テンポのいいリズミカルな呪文を唱えると、少し大きかった下着はフィットする大きさになり、好きな色とオシャレな刺繍が入った物へと変わった。
シャツに変化はなかったが、下はショートパンツのルームウェアへと変わっており、少し蒸し暑い夜には快適な格好へと変わっていた。
「コラ、女性がそんなに足をさらけだしてはいけません!」
「いいじゃんべつに〜、あ!下着も変わったよ」
「気に入ったものになりました?」
「勿論!.......みる?」
「バカおっしゃい!!」
「てへ」
冗談交じりな雑談を交わしながら、ソファーへ座り寛ぐ。
「そうだ.......貴方、誕生日はもう済んでいるんですよね?」
「うん、そうだけど.......4月だからね」
「なら、少し遅れてしまいましたがこれ、誕生祝いです。」
「お酒!」
「ワインは飲めます?」
「当たり前」
なら、一緒に飲みましょう
そう言っていつの間にか用意されていたグラスにワインをついでいく。トポトポと音を立て、空だったグラスを埋めていく美味しそうな深い赤色の液体。
欲をそそる匂いにゴクリと喉を鳴らした。
「結構飲まれるんです?」
「大分と。」
「あなたの誕生日に」
「あなたの家族になれたこの日に」
カツンとぶつけたグラスが音を鳴らして口へ運ばれていく。
「随分と嬉しいことを言ってくれますね」
「だって、本当に嬉しいんだもん」
「それはよかった。私も嬉しいですよ。こんなに可愛い娘ができて。」
「褒めても何も出てこないよ」
「褒めてません、事実ですから」
空になったグラスにワインをついたしていく。
そのペースは緩まることを知らず、加速していく。
酔いが回っていく心地の良い感覚に身を委ねる両者。
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Ria*(プロフ) - すみませんごめんなさい…。前にしたコメントゆっこさんのことを呼び捨てに…!!わざとじゃないんです、ごめなさい!ゆっこ"さん"です!訂正させてください!! (2020年8月6日 10時) (レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
白玉の星(プロフ) - 速く………………速く………………思い出してほしい…これからも頑張ってください……………… (2020年8月5日 21時) (レス) id: 897ea2c55e (このIDを非表示/違反報告)
ちぃすけ。(プロフ) - 全編見たとき泣きました…( ; ; )この作品が今までで一番好きです!!更新ものすごく楽しみにしてます!!頑張ってください! (2020年8月5日 20時) (レス) id: 0f6c0c9d97 (このIDを非表示/違反報告)
Ria*(プロフ) - 続編心待ちにしてました!ゆっこの作品大好きです!これからも楽しみにしています!! (2020年8月5日 18時) (レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - 名前変換させてほしい… (2020年8月5日 12時) (レス) id: ed99c8170d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっこ | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/novel/series/1297564
作成日時:2020年8月4日 20時