正しい魔法の使い方 ページ14
「さっき言った通り、貴方は膨大な魔力を持ってる。
治すといったことが一瞬で出来きてしまえるほどの魔法を貴方は使えることになるでしょう。
そうなれば私への恩なんて一瞬で返せます。
だから、心配しなくても大丈夫です。」
「ありがとう」
クロウリーは知らない。
この慰めの言葉が後にとんでもない事態を起こす引き金となってしまうことを、まだ知らなかった。
「さて!
使うところは綺麗になった事ですし、お風呂にでも入ってきなさい。服はこちらで用意させていただきます。」
「下着は?」
「適当なものを買って、後で魔法を使って変えて差し上げましょう。年頃の娘に地味でサイズ違いな下着で我慢しろだなんて、そんなこと言いませんよ。」
「パパ大好き!」
なんて頼れる優しいパパなんでしょう!
そう言いながら部屋を出ていくクロウリー。
ユキは先程案内されたバスルームを思い出しながら廊下を歩きだした。
鼻歌を歌いながら、シャワーを浴びるユキ。
そこにはバスタブもついていて、それだけでありがたいと言うのにシャンプーやトリートメント、洗顔にボディーソープも用意してくれていた。
しかも絶対良いヤツ。
早く魔法を使えるようになりたいな〜と、まるでデビュタントを待ち遠しく思うお姫様のような心になる。
年上の、大人からのこういった対応は初めてであり、
とても喜ばしかった。
頼ることを知らなかった1人の女が、頼ることができる存在を見つけた瞬間であった。
心置き無く、湯船に漬かり心身を休ませるユキ。
あんなに嫌いだったお風呂が、今や浸かるまで成長した。
私の日常はあの子の面影で溢れていた。
お湯の心地良さを堪能していると、扉越しに声がした。
「ユキ」
「はいー?」
「ここに置いときますね」
「ありがと」
そう言ってこの場を離れていくクロウリー。
待たせてはダメだと思ったユキは、少し名残惜しいような気もするがお湯から上がった。毎日お湯に浸かれるのだから、どうってことない。
シンプルな部屋着とどこでも売ってそうな少しのフリルが着いている下着。
その上には律儀にふわふわのバスタオルが置かれていた。
そして、化粧水や乳液といった美容液。
心がじんわりと暖かくなる。現金なヤツと言われても仕方ないと思う。実際、こうやって差し出された手を取っているのだから。それでも、それ以上に、彼の隣が落ち着くのだ。これまでの保護者とは違う、温かさ。
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Ria*(プロフ) - すみませんごめんなさい…。前にしたコメントゆっこさんのことを呼び捨てに…!!わざとじゃないんです、ごめなさい!ゆっこ"さん"です!訂正させてください!! (2020年8月6日 10時) (レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
白玉の星(プロフ) - 速く………………速く………………思い出してほしい…これからも頑張ってください……………… (2020年8月5日 21時) (レス) id: 897ea2c55e (このIDを非表示/違反報告)
ちぃすけ。(プロフ) - 全編見たとき泣きました…( ; ; )この作品が今までで一番好きです!!更新ものすごく楽しみにしてます!!頑張ってください! (2020年8月5日 20時) (レス) id: 0f6c0c9d97 (このIDを非表示/違反報告)
Ria*(プロフ) - 続編心待ちにしてました!ゆっこの作品大好きです!これからも楽しみにしています!! (2020年8月5日 18時) (レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - 名前変換させてほしい… (2020年8月5日 12時) (レス) id: ed99c8170d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっこ | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/novel/series/1297564
作成日時:2020年8月4日 20時