俺達と君は知っている~俺達は知っているsecond story~

俺達は知っている ページ21

俺達は知っていた。



君が正しいこと。

君は嘘をついていないこと。



でも、

君を裏切ったこと。

君を傷つけたこと。


君が俺達に見えないところで、どれほど傷ついていたか、俺達は知らなかった。





俺達は知っている。


君を15年間暗闇に閉じ込めたのは、




あの子たちではなく俺達であること。



でも、君がそんな俺達をあの頃のように包み込んでくれたのを、
その温かさも、



俺達は知っている。






・・・そう、俺達は知っている。


「・・・っ、立花ぁっ！」

煤だらけになった藍色の髪を振って叫ぶあいつにも。


「おね・・・お、おねえちゃ、お姉ちゃぁん！！！！」

涙で顔をぐちゃぐちゃにして叫ぶあいつにも。


「立花・・・立花！！」

目を真ん丸に見開いて叫ぶあいつにも。


「彩・・・ちゃん・・・」

呆然とその名を呼ぶあいつらにも。





君は、あの頃と何ら変わらない、柔らかい微笑みを返すってこと。






俺達は知っているよ。



「・・・みんな、ありがとう。」



こんな目にあって、それでもなお「ありがとう」と告げる君は、






あの頃と同じ、眩しいほどに輝く美しい花のようだった。







「ねえ、みんな。」


君が、こちらを向かずに言う。

けれどその声は、確実に俺達に向けられているものだった。


「私ね、ずっとみんなに伝えたかったんだ。」


俺達皆に緊張が走る。

君が、俺達に、ずっと伝えたかったこと・・・



「・・・あの時、」


いつ、なんて誰も言わない。

ただ固唾を呑んで、君の継ぐ言葉を待っている。





「あの時、私じゃなくて、明衣ちゃんや麻世夏ちゃんを信じてくれて・・・ありがとう。」



俺達は信じられない思いで君を見つめる。


君はゆっくりと振り返って、優しい笑みを浮かべる。



「私ね、最初から判ってた。二人が私に近付いてきた目的。・・・でも、それでも私、二人と仲良くしようと思ったの。二人はずっと、淋しそうな眼をしてたから。だから・・・」


長く話して疲れたのか、そこで少し息を吐いてから、君は言う。

「私が傷つくくらいで二人が幸せになるなら、まあいいかなって。」


・・・ほんと、


「・・・天使、だな。」


呟いた声が届いたかはわからない。

だけど、そんな幼い思い出が蘇った途端、君と目が合った。


微笑む君はあの頃と何ら変わらなかったが、同時に微かに大人っぽくなっていることを、









俺達は知っている。

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