双子vs双子【宮侑】 (ページ12)

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次の日の朝。

　めいとどっちが持って行くか話し合おうとしたら、侑くんが頼んできたからAが持っていきな、と言われ重い保冷バッグを持って登校した。

　教室にはまだ侑くんはいなくて、あかりと話しながら待った。

「おはよ、A」

「おはよう、侑くん。朝練お疲れ様。
　これ、作ってきたからみんなで分けて食べて？」

　来たばかりの侑くんに、保冷バッグに入ったハニーレモンを渡す。

「みんなで(・・・・)？」

「うん。たくさん作ったし、あ、箸もたくさん入れてあるから安心して！一応おしぼりも入れてあるし」

「……分かった」

　でも先に味見していい？と、席に着いた侑くんは上目遣いで聞いてくる。

　うっ、かわいい。
　カッコイイはずなのに、そんなあざといことも出来ちゃうわけね。流石モテる男。

「……いいよ」

「ありがと。…………うまいわ」

　ひとつ摘んで口に入れた侑くんは、美味しい、と繰り返し言った。

「そこまで誉められると照れちゃうな」

「照れてる顔も可愛いで」

「えっ」

　顔に熱が集中するのが分かる。
　隣であかりがヒュウ、と口笛を吹いた。クラスの皆が静かになる。

　侑くんは珍しく真剣な顔をしていた。

　お互い目を逸らすことなく、何秒か経ったあたりで気まずくなって、わたしから目を逸らした。

「そ、それはどうも……」

　いや可愛いかよ、とあかりが冷やかしたので、もう、と怒る振りをして侑くんに背を向けた。

　ガラリと戸が空いて先生が入ってきて、席につけと声をかける。

　わたしも前を向く。侑くんの方は流石に見れなかった。自分の火照った顔を見せるわけにはいかないと思ったから。

(流石に驚いた…………)

　即座に反応できなくて侑くんも気まずかっただろうなと反省しながら、先生の話を右から左へ流した。