７９話 ページ31
腰にしっかり手を回され、ドス君の肩付近に私の顔が当たっている。お互いの体温や息遣いが伝わる距離。
……何が起きたの！？
｢えっ、あの、ドス君。近くないですか？｣
｢そうですか？しかしこのくらいの距離じゃないと画面に収まりませんよ｣
｢いやこれはちょっと心臓がもたないので！！！｣
限界オタクにはちょっと無理！耐えられない！
少し視線を上にずらせばドス君の顔が目に入る近距離。
顔を見なくても、彼が今どんな表情をしているか分かる。案の定、クスクスと小さく笑う声がした。
｢写真を撮るくらいAさんにはなんて事ないんでしょう？｣
｢そうだけど、ドス君とツーショットの自撮りは違うよ……！｣
頑なに無理を繰り返す私に痺れを切らしたのか、ドス君は片手で顎を掴み、カメラの方へ顔を向かせた。
そして、パシャリ。と軽いシャッター音が響く。
写真の出来栄えを確認した後、携帯を返された。一方で私は、未だに混乱中。
｢え、え？撮っちゃったの！？｣
｢はい。確認してみたらどうですか？｣
慌ててアルバムを開いて、撮った写真を確認する。
ドス君は煌びやかな笑顔をたたえているが、私は顔を掴まれている為、唇が尖ってでている。拗ねた子供みたいな表情。
｢私の顔ひどくない！？｣
｢中々こっちを見なかったので｣
｢だからってこれは無いよ！｣
携帯を手に嘆く私を、愉快そうに笑うドス君。
性格悪い……！でもそんな所も好き！
ドス君とツーショットなんて烏滸がましい気がするけど、彼の写真が手に入って凄く嬉しい気持ちを抑えられない。口元が震える。
私の顔は酷いけど、ドス君の顔がいい……！素敵！格好良い！
ふふん、と鼻息が荒くなり、ニヤニヤが止まらない。
携帯を操作し、そっと待ち受け画面に設定した。
画面の中のドス君の嬉しそうな表情が、凄く好きで。それを見ていたら私も嬉しくなって。胸が痛くなって。
｢私、この写真、宝物にするね！｣
こぼれ落ちないように、胸に抱き締めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 365人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
食塩水(プロフ) - 名前さん» 長い間待っていて下さりありがとうございます！優しいお言葉、身に染みます…これからも不定期更新ではありますが、あんなにお待たせしないように書き進めていきたいと思います！ (2020年6月14日 22時) (
レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
食塩水(プロフ) - まやさん» 長い間待っていて下さりありがとうございます！これからはあんなにお待たせする事がないように書き進めていきたいと思います…！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
食塩水(プロフ) - あやめさん» 更新お待たせ致しました…！2ページ"も"と捉えて頂けてありがたいです！自己満足な作品ではありますが少しでも楽しんで頂けるよう、もっと更新出来るように頑張りますね！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
名前 - 更新されてる……ありがとうこざいまああす！これからも作者さんのペースで頑張ってください！楽しみに待ってます！！ (2020年6月14日 21時) (レス) id: 6e285a92e8 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 更新ありがとうございます！！これからも更新待ってます！頑張ってください！！！！ (2020年6月14日 15時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
