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「もう、やめてってば……!」









そう叫ぶとともに扉を乱雑に開けて逃げるように飛び出していくあんずちゃん。
私は彼女の後ろ姿を、追うことができなくて。









「あんずっ……!!」

「あ、明星さん!!?」









明星くんは、あんずちゃんを追いかけるように部屋から出ていった。部屋の中には、私たち三人だけが取り残されて。









「……、少し、話を聞いてもいい?Aちゃん」

「っ……はい」









日和さんが真面目な顔でそう言う。
私は頷くことしかできなかったんだ。









「Aちゃんは、今まで人一倍辛い思いをしてきた、その努力は僕も見てきたし、ジュンくんだって君の苦労は分かっているよ」

「……ありがとう、ございます」









正直なところ、私には苦労とか、努力とか、そういうことはイマイチよく分からなかった。
ただ、それが私にとっての『当たり前』であって。
それを賞賛されることはなかった。だって、それが夢ノ咲学院では、当たり前であったんだから。









「Aちゃんは、結局───どうしたいのかな」

「……、それは……」









私はただ愛されることだけを願って。
そうなんだ、全ては誰かに必要とされるために。
誰かひとりでもいい、そばにいて欲しいんだ、って言ってもらうために。









言ってくれるなら、誰でもよかったんだ。
例え誰であろうと、私はよかった。
必要とされるために努力して頑張って、苦労して、
だけど何度も負けて、挫けて、つまづいて。









「……結局、負けてるんです」

「誰に?」









日和さんとジュンくんが遠慮がちに聞いてくる。









答えにならないかもしれない。
結局どうしたいのか、と聞かれても、明確な答えなんて、出ないと思っている。









「結局、私、負けてるんです、何もかも、あんずちゃんに、あの人たちの愛するプロデューサーに」









そう言った私の顔は、どれほど醜くてぐちゃぐちゃだったんだろう。自分でもよく分からないけれど、









きっと、私がプロデューサーになったことは、間違いだったんだろうな。









.









「愛されたいなんて言わない。
ただ、そばにいさせて、それだけでよかったのに」









「またあなたたちの笑顔の輪に入りたいと願う私は、わがままなんですか」









*._

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ありさ(プロフ) - おかえりなさい!! (1月31日 22時) (レス) @page27 id: 00612c0ec4 (このIDを非表示/違反報告)
鈴奈(プロフ) - コメント失礼します。私も同じような経験したことがあります。そのせいか、私は親のことがどうも好きになれず…、笑たぴさんとても優しい方ですね。正直私は自分の気持ちに嘘をつき、事を終わらせました。だからどうか貴方は自分の生きたいように生きてください。 (2022年7月29日 21時) (レス) @page26 id: 973e1807e6 (このIDを非表示/違反報告)
べベンべエエェェ - 世界に繋がっていますから、モラルは保証されません。そういう人に話してみてはどうでしょうか。お母様が死にたい。といったなら死にたいのは今だけかもしれない。まだ未来があるんだから辛いときは一緒にいるから約束するよ。となどでも声をかけてみてはどうでしょうか (2022年6月5日 23時) (レス) @page25 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
べベンべエエェェ - 信じられてこの人なら話してもいいかもしれない。この人だけは絶対に信じられるという人を探してみてはどうでしょうか。クラスメイトや、ツイッター、相談部屋、Tiktokなどでもいいと思います。でも顔を知らない。一度も会ったことがないとなると (2022年6月5日 23時) (レス) @page25 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
べベンべエエェェ - 今まで一緒だったのに急になくなるのは悔しいとか、辛いとかよりもどうしてこうなったんだろうですよね。自分が生まれてこなければとか、自分ばかり責めたりしちゃいますけど、作者さんは悪くないと思うし、それでも自分が悪いと思うなら誰か一人だけでも、 (2022年6月5日 23時) (レス) @page25 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たぴ | 作成日時:2018年10月18日 20時

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