【wrwrd】我々アングラ世界に生きし者

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−鬱先生視点−

ふかふかな椅子に座るように指示される。カジノから出され上の階に連れていかれたのだ。
座りながら待っていれば、バニー服の上にスーツの上着を羽織ったAちゃんが現れた。

「俺呼び出したんAちゃん？」
「違うけど、店長じゃ話にならないだろうって。鬱くん……、じゃなくて、鬱さん？」
「なん？」

対面にあるソファに座って、驚いたようにその椅子を見るAちゃん。ふかふかな椅子に座ったの初めてなんかな。

「なんだっけ。……うちのカジノに来た理由は？お金に困ってる訳でもないだろうし、スリルを求めに来たわけじゃないんでしょ？カジノが好き……にしては表のカジノには一回も行ったことないって聞いてるけど」
「えー、俺の事そんな気になるん？」
「全然！でも気になる人はいるんだって」

さて、どう答えようか。素直に答えればトンちに怒られるだろうし、グルちゃんの計画がダメになる。
しかしここで解放されるためには下手な嘘はつけない。彼女はきっと勘が鋭いぞ。

「……俺の事教えるのはええけど、その代わりにうさちゃんのこと教えてくれる？」
「……んー、良いよ。ちょっと待ってて」

そう言って部屋を出ていくうさちゃん。……え、これ何待ち？
そんなことを思いながら待っていれば、Aちゃんは小さなショットグラスとテキーラを持って戻って来た。

「どうせなら楽しいことをしよ！相手に質問する度にショット一杯。相手が飲んだら答えるか、答えたくないならショット一杯飲む。先に酔い潰れた方が負け。負けたら、相手のことを好きにして良い。……どう？」

コトン、とショットグラスを目の前に置き、その真ん中にテキーラボトルが置かれた。

「Aちゃんお酒強いん？」
「それは質問？」

どうやらもうゲームは始まっているらしい。俺はテキーラを持ってショットグラスに注ぐ。小さなグラスを一気に煽れば、喉が焼けるような酒の強さに一瞬ぐらりと来る。

「質問。Aちゃんはなんでここで働いてんの？」

Aちゃんはにっこりと笑って、ショットグラスにテキーラを注ぎ、一気に煽った。どうやら初っ端から答えたくない質問を引いたらしい。

「んふふ、テキーラってやっぱり強いねぇ。じゃあ次私の番」

とぽぽぽ、とグラスにテキーラを注いでまた飲む。

「質問。なんで鬱くんは私の名前を知ってたの？」
「あれ、教えてもらわんかったっけ。……あ、そうか、それでバレちゃったんか」
「早く答えて？」

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