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開幕早々、獄寺隼人がボムを投げた。いつものボムじゃなくて、改良されているみたいだ。形態変化している分、いつもより武器はパワーアップされてるんだろうな。SHITT・Pがリングに炎を灯す。背中から突き出てきた武器はエンティティさまの触手にどことなく似ていた。
その先端から液体が放出されて、ボムは地面に落ちる。地面に落ちたボムを注意深く見ると、どうやら溶けているみたいだった。
装備を捨ててSHITT・Pが走り出す。獄寺隼人に抱きついて、何やら語っていたかと思うと、そのまま風船を蹴り割った。
身軽だなぁと上から眺める。追跡しようとする獄寺隼人の足元はぬかるんで、思うように動けないみたいだ。
「私の炎は大地7属性の沼の炎。どんな無機物をも発酵させて底なし沼を作るの」
なるほど、そういう特性か。彼女の実力を加味しても、エンティティさまの力を借りるまでもないな。途端に興味が失せて、触手の上でしゃがみ込んだまま、項垂れてしまう。
これ、最後までいなきゃダメかな?帰りたくなってきちゃった。あと面白そうな人って言ったら、ヒバリさんが言ってた鈴木アーデルハイトと、個人的には古里炎真もかなぁ。
ただ、あの加藤ジュリー。漠然とした違和感はあるんだけど、それが何か掴めないんだよね。
普通なら殺そうとしてきた相手にヘラヘラできるわけないんだよ。だけど、彼は危ないと言っただけで、怯えることもなかった。
殺されないという自信があった?まさか。いくら幻術使いだとはいえ、彼レベルなら容易に屠れる。僕が中学生ごときを殺せないわけない。では、なぜ?どうして?あの余裕はどこからきてるんだろう?
仲間に絶大な信頼を寄せている?いや、そんな様子は見受けられなかった。説明がつかない違和感が気持ち悪い。
ぐるぐると思考を回している間に、いつの間にか決着が着いていた。勝者は獄寺隼人。どうやら、SHITT・Pにまたたびをつけて、瓜という猫型の匣兵器に狙わせたらしい。背後から瓜を爆発させて風船を2つもあっという間に割ることができた、と。
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作者名:怜 | 作成日時:2023年2月20日 23時