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何かやる気だね、沢田綱吉は。ただ、彼の炎が徐々に弱くなってる気がするんだよね。新武器はじゃじゃ馬な上に消耗も激しいんだろう。
とすれば、もう長くはないね。
どうするのかと見ていれば、沢田綱吉は単調に突っ込んでいく。もろに食らったカウンターで吹き飛んでいく沢田綱吉。その手に握られていたものが一瞬だけ見えた。
ヒバリさんはガッカリだと言ってトンファーを下ろす。
「直接手をくだす気にもならないよ。匣で……」
そう言って懐を探るヒバリさんの表情が変化した。さっき匣をスられてたんだよ、沢田綱吉に。そうはいっても、ヒバリさんの匣兵器は1つじゃないからね。
倒れたまま匣兵器に炎を注入した沢田綱吉の手元から、ハリネズミが飛び出す。そういえば、大空の属性は全ての属性の匣兵器を開匣できるんだっけ。チートみたいだ。
ヒバリさんも対抗するように匣兵器を呼び出した。それがぶつかり合って炎が渦巻く。
「気が変わったよ。もっと強い君と戦いたいな。それまで少し付き合おう」
上空で拮抗しているハリネズミたちを見上げた。徐々に劣勢に追い込まれていく沢田綱吉が呼び出したハリネズミ。チートみたいだと言ったけどね、万能っていうわけでもないんだよ。
大空の炎では他属性の匣の力を全て引き出すことはできないんだ。まあ、これを教えてくれたのはヒバリさんだから、ヒバリさんの受け売りだけどね。
匣がどうやってできたか、ラル・ミルチが説明しているのを聞いたことがあるなぁと聞き流す。ヒバリさんは匣兵器について調べてるから、その辺の話は既に説明してもらったんだよね。
ざっくりと説明すると、匣は4世紀前に残された設計書が元になっているんだ。それを3人の発明家が実現させた。
当時はオーバーテクノロジーだったものも、今では作れてしまうってことに人類の進歩を感じるよねぇ。
「これがオレの知る最も有力だと思われる匣の情報だ」
「ああ、間違ってはいない。だが、どうして匣ができたかという問いに対する本質的な答えとは言えないな。匣を現在に成り立たせた本当の立役者はジェペットでも優秀な科学者でもない。偶然だ」
本当、信じがたい話だけどね。でもまあ、世界的な発見や発明において偶然は近しい関係にあるから。なくはない話なんだよ。
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作者名：怜
| 作成日時：2022年10月24日 23時
