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だけど、さすがにキラーとサバイバーのパークの掛け算は負担がかかるのか、ズキズキと頭痛が主張し始めた。
ソファーの背もたれに身を預けて、腕で目元を覆い隠す。ガチャリとドアが開く音が聞こえて、目も向けないままおかえりなさいと言った。
「何してるの」
「ちょっと休憩中です」
「ふぅん。で、それは?」
近付いてくるヒバリさんはテーブルの上にある書類を手に取って、かさりと紙の擦れる音を立てる。ガンガンと響く頭痛に顔を歪めながら、沢田綱吉から聞いたことをヒバリさんに話した。
ペンを取ってサインを書くと、ヒバリさんは指示書を処理済みの書類の上に置く。
「君はどう思う?」
「どうって、そうですねぇ……10年後の世界に行ったきりなんだと思いますよ」
「へえ?」
「少なくとも並盛にはいないですね」
確信を持っている僕が不思議なんだろう、ヒバリさんは片眉を上げた。訝しげな視線を向けられて苦笑する。どう説明するべきかな。さすがに一瞬で並盛から黒曜の範囲まで探せるなんて言いづらいし。
「えーと、ううん……僕は並盛くらいの広さなら、人の気配を察知することができるんですよ。まあ、一度に感じられる気配の数は限られますし、知っている人限定ですけど」
「ああ、そういうこと」
「……そういうことです」
なんだと言わんばかりに呆気なく納得されて、拍子抜けした。普通の人なら不可能だとか難癖つける場面だと思うんだけど。ヒバリさんの感覚がおかしいのかな?それとも、こっちの世界ではこれが普通なの?
徐々に引いてきた頭痛に、もう一度試そうと顔を上げる。向かいのソファーに腰掛けたヒバリさんは僕をじっと見つめていた。
「……なんですか?」
「興味があってね。続けていいよ」
「ああ、そういう……」
目を閉じて、再び『死を呼ぶ追跡者』と『手札公開』を構成させる。それから目を開ければ、やっぱり人数が足りない。
オーラの形からして、山本武と笹川了平はいる。でも、沢田綱吉と獄寺隼人がいないな。黒曜にもいないから、別の場所に探しに行っているのか、もしくは10年後の世界に行ってしまったのか。
9秒というのは案外長く感じられて、遅れて頭痛がやってくる。さっきより激しくなった痛みに、今日はもう視れないなと直感した。
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作者名:怜 | 作成日時:2022年10月11日 19時