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こめかみを揉みながらヒバリさんを見れば、どこか満足そうにしている。


「なんか、楽しそうですね?」

「君が面白いからね」

「人をおもちゃみたいに……」


ため息まじりに言って、そのままヒバリさんに報告する。2人いなくなっていると言ったときのヒバリさんは目を細めるだけで、あまり感情は窺えなかった。


「追加の指示書は僕が作るから、休んでいなよ」

「えっ?それくらい作りますよ」

「それ、かなり無茶するんだろ。それとも、安静にしてろって口酸っぱく言って欲しいの?」

「それ、いつまで引っ張るんですかぁ……」


ヒバリさんが風邪を拗らせたときに僕が言った言葉だけど。それを持ち出されるの何回目だろうね。ひとまず頷いて、ソファーに寝転がる。
1時間後には起こすから、と言葉を投げかけられて、軽く返事をして目を閉じた。



***



あれから数日。見回りをしていると、笹川了平やその妹の笹川京子、山本武にも都度話しかけられた。その内容は沢田綱吉もリボーンもいないけど知らないかって。捜索はしてるって返せば、不安そうな顔がどこか和らいでいた。
まあ、そのうち2人はつい先日いなくなってしまったけど。あと、三浦ハル、だったっけ?捜索届が出ていたね。ランボやイーピンもいなくなっていると聞いたから、やっぱりマフィア関連としか思えないけど。さて、どうしたものかな。


エンティティさまは彼らに力を貸してやれと僕に命令した。だから、困っているのなら協力すべきだと思うんだよね。とはいえ、10年後の世界に行くには、10年バズーカがいる。そして、その持ち主であるランボは既にいない。
つまり、力の貸しようがないってことだ。

まあ、何かあったときのために手紙は自室に置いておいたから、見つけて読んでくれれば大体の事情は察してくれるはず。僕もいなくなったときはヒバリさんが勝手に家に入るだろうからね。
ああ、手紙の内容はね、『沢田綱吉に力を貸してきます』とだけ。それくらいで分かってくれるでしょ、ヒバリさんは。


ふと、足を止めて辺りを見渡す。何も変わらないいつもの街並みが、どこかおかしく感じられて首を傾げた。幻覚……でもない。何、これ?

忽ち違和感が強くなって、ぐにゃりと視界が歪む。急激に重たくなった身体。鈍い聴覚が何かの音を捉える。それが何か分からないまま、僕の意識はブラックアウトした。

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作者名: | 作成日時:2022年10月11日 19時

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