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『時雨蒼燕流、九の型』
その構えは山本が得意としている野球のバッティングフォームだ。図に乗るなと叫んだスクアーロは猛攻を仕掛けるため、かつて剣帝を倒した奥義を繰り出した。
水が道を開けるように抉れていき、大きな津波となって山本を襲う。躱したところを追いかけるように方向を変え、スクアーロの剣は山本に届いた。
受け止めきれず距離を取る山本を止まらず追いかけるスクアーロ。その背後に山本の姿が見え、スクアーロの義手が真後ろを向いた。しかし、剣が切り裂いたのは水流。
後ろを見ているスクアーロの前には剣を振りかぶった山本がいた。
──うつし雨。
剣の峰でスクアーロを打つ。倒れ込んだスクアーロから指輪を取り、山本はカメラに向かって笑ってみせた。
「ざまぁねえ!!負けやがった!!!カスが!!!用済みだ」
「ボスが直接手をくださなくとも」
「僕がやってこよーか?」
「お待ちください。今、アクアリオンに入るのは危険です」
規定水深に達したため、獰猛な海洋生物が放たれたとチェルベッロが言う。海洋生物とは鮫。鋭い歯と嗅覚を持ち、種によっては100万分の1に薄めた血ですら知覚する、海の強者。
『ちょ……待ってよ。スクアーロはどーすんだ?』
「スクアーロ氏は敗者となりましたので、生命の保証はいたしません」
『やっぱな。んなこったろーと思ったぜ』
そう言った山本はふらつく体でスクアーロを支えた。普通助けるだろうと笑みを浮かべる山本をツナたちは信じられない気持ちで見守る。だが、山本はそういう性分なのだ。
しかし、そう悠長なことも言っていられないのも事実。現に血の匂いを嗅ぎつけた鮫が下の階で泳いでいる。獰猛に柱に食らいつき、山本たちがいる階を崩した。
『おろせ。剣士としてのオレの誇りを汚すな』
『でも……よ』
『ゔお゙ぉいっ!うぜぇぞ!!』
最後の力を振り絞り、スクアーロは山本を上層階へ蹴飛ばす。拍子で瓦礫に落ちてしまったスクアーロ。その血が水中へ流れ込み、鮫は徐々に近付いていく。
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怜(プロフ) - リィさん» ありがとうございます!!面白いと言っていただけるとやる気が出ます!まだストックは尽きていないので、今後も早めに更新できると思います。お楽しみに〜! (2022年10月7日 0時) (レス) id: 37b3e8feed (このIDを非表示/違反報告)
リィ(プロフ) - あ"ぁ"っ…!楽しみすぎてつらい…!!なんでこんな面白い話を作れるのか疑問です…更新頑張ってください!! (2022年10月5日 13時) (レス) @page32 id: 1730b53d16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜 | 作成日時:2022年10月1日 3時