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「君の一瞬っていつまで?」
その言葉で2人が距離を取る。ヒバリさんの肩から血が噴き出て、血の匂いが僕の元まで届いた。手が出そうになるところを必死に押さえる。血の匂いで理性がギリギリになっていく感覚。
遊びたい。ただそれを堪える。僕はいつまで待てばいいの。
「時間のムダです。てっとり早くすませましょう」
そうして咲き誇る桜。ああ、そういえばヒバリさんはサクラクラ病を患っていたんだっけ?危ないな。違和感のあるそれに幻覚だと分かるけど、ヒバリさんはどうなんだろう?
「クフフ。さあまた、ひざまづいてもらいましょう」
自信ありげな六道骸。ヒバリさんは倒れそうになって、そのまま腹部にトンファーをめり込ませた。六道骸の口から血が滴る。
「へへ……甘かったな。シャマルからこいつをあずかってきたのさ。サクラクラ病の処方箋だ」
治療済みなわけか。じゃあ、大丈夫だね。交差させたトンファーで六道骸を打つ。六道骸は血を吐いて吹き飛んだ。
フラフラと僕に歩み寄ってくるヒバリさん。立ち上がって駆け寄ると、僕に倒れ込むようにヒバリさんは力を失った。掠れた声で寝ると聞こえて、小さく笑う。お疲れ様でした、と背中を撫でてゆっくりと横たえた。
リボーンがぴょんと僕の肩に乗ってヒバリさんを覗き込む。
「こいつ途中から無意識で戦ってたぞ。よほど一度負けたのが悔しかったんだな」
「ヒバリさんすげー……」
「ねえ、救急車手配して」
「あ、早くみんなを病院につれて行かなきゃ!!」
「それなら心配ねーぞ。ボンゴレの優秀な医療チームがこっちに向かってる」
そう、と呟いてヒバリさんの頰にかかった髪を払う。至る所傷だらけだね。しばらく入院生活をしてもらわなきゃ。治ったら書類のほうに目を通してもらって。
あれやこれや考えていると、視界の端で六道骸が起き上がるのが見えた。
「その医療チームは不要ですよ。なぜなら生存者はいなくなるからです」
銃口をこちらに向けて薄く微笑んでいる。その銃口の向きはこちらから六道骸のこめかみに変わった。
「Arrivederci」
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作者名:怜 | 作成日時:2022年9月25日 23時