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すよすよと幼さが残る寝顔を、ヒバリはじっと見下ろす。そうして思い出していたのは初めてAを見たときのことだった。
今年入学してきた1年生に上級生が悪質な絡みを見せるのは決して少なくなく、Aもその標的とされていた。しかし、ヒバリには助ける気は毛頭なく、ただただ見学するのみだった。己が目の前でやるのなら、風紀を乱すとして粛清対象になりえたが、なにせ見回り中ではなかったし、わざわざ赴くのも面倒だった。
結果として行かなかったヒバリが見たものは、草食動物の怯える姿ではなく、肉食動物の捕食シーンだった。時間として数分とかからず地面と同化した弱者、それを見下ろす強者。その者に興味が湧いてしまうのは戦闘好きとして有名なヒバリにとってごく普遍的なことだ。
そのとき相対していたのならヒバリはすぐに対戦を申し出ただろうと思い、今からでもと随分と軽くなった腰を上げたが、それは警戒したように辺りを見渡し、そうしてヒバリの方を向いたAに憚られた。
身震いするほど歓喜したあの瞬間を、Aは知らないのだろう。血のように赤い目が鋭く放つ光が、ヒバリを躊躇させたことなど、Aは露ほども思っていないはずだ。
その目から逃れるように窓から離れ、ヒバリは自然と緩んだ口元を手で隠して、必ず手元に置くことを決意した。それが叶ったのは翌日のこと。
時の流れとは素晴らしく、当時退廃的な雰囲気を纏わせ死を待つだけの竜を思わせた人物は、今では毛並みを輝かせた狼のように溌剌とし、そうして仲間にだけ見せるような安心しきった顔で眠っているのだ。
もしここでトンファーを突き立てたら、もしここであの体を組み敷いたら。どんな反応を見せるのか、どんな抵抗を見せてくれるのか。溢れ出る興味のまま行動すれば、この肉食動物は……。
そこで思考が止まる。出会ったばかりの警戒心で満ちたAが脳裏に蘇り、それはどことなく面白くないものだと気付いてしまったのだ。遊びたいのであれば、素直に言うだけでいい。Aもヒバリと同じ戦闘好きなのだから断ることもなく、笑顔で楽しそうに喜んでと返事をする。
お互い本気を出せば校舎すら簡単に破壊してしまうからとじゃれ合い程度にはなるものの、充足感のあるあの時間を手放すのは惜しいのではないか。
ひとまず、ヒバリはAをそのまま寝かせておくことにし、暇潰しと称したゲームを開催するために院長を呼び出した。
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怜(プロフ) - 茨の谷の第2王子(ヲタク)←王子がそれでいいのかさん» リボーンいいですよね……読んでくださってありがとうございます！ (2022年10月14日 0時) (
レス) id: 37b3e8feed (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第2王子(ヲタク)←王子がそれでいいのか - リボーンしゅき (2022年10月8日 0時) (レス) id: 304b99e4d1 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - リィさん» ありがとうございます！信者くんがまたトリップしたら面白いだろうなと思って書き始めたものですが、そう言っていただけると励みになります。これからもよろしくお願いします！ (2022年10月1日 3時) (レス) id: 37b3e8feed (このIDを非表示/違反報告)
リィ(プロフ) - DBDもリボーンも知らないのに見始めました。ツイステのDBD見てて面白いなぁって思ってみ続けてます。更新頑張ってください！ (2022年9月30日 17時) (レス) id: 1730b53d16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2022年9月25日 1時
