魔力よりタバコをくれ十六本目【ツイステ】 (ページ6)

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それから秘密保持契約を読んでサインしろって言われて、適当に流し読む。こういうの本当はしっかり読まなきゃダメだと思うんだけど、アズールがいるから良いかなって。適当にサインをすれば、アズールが信じられないって顔をして俺を見る。

「A、あなたなら安易に契約を結ぶデメリットを知っているはずですが」

「知ってるけど、さっさと終わらせて帰った方がフロイドとジェイドのためになるし」

「こんな時でも2人の心配ですか？自分の心配をしてほしいものです」

形のいい眉を釣り上げたアズールが俺の額をつつく。額を押さえてへらりと笑ってみせると、アズールは瞠目してため息をついた。
全くもう、と呟いたアズールはNDAに目を通していく。

「検査にかかる時間は約24時間。たった24時間だけ、僕らに協力してくれればいい。で、スムーズに検査を終わらせてサクッと全員ハッピーで解散ってことで」

24時間！？そんなにかかるのか……。困ったな。何も言わず1日もいなくなったことなんてないから、2人が心配だし、帰った後のことも不安だ。ずっと離してくれない、なんてこともありえそうだな。言い訳くらい考えておくか。

無言でイデアさんを睨みながら、各々NDAを読み進んでいく中、俺はまたタバコを取り出した。時間がかかるだろうからな。だって、勝手に連れてきた挙句NDAにサインしろ、なんて横暴もいいとこだ。
俺はさっさと帰りたいとしか思わないけど、アズールたちは虫の居所が悪いはずだ。

すっと手を挙げたアズールがイデアさんに質問をする。それを皮切りにイデアさんを呼ぶ声が続いた。ほらな。やっぱりこうなる。どれくらい時間がかかるかな。

「A・マクミランさん。飲み物を用意するよ。何がいい？」

「助かる。紅茶をお願い」

「うん。分かったよ」

オルト・シュラウドが気を利かせて紅茶を用意してくれる。少し熱めに入れられたそれがこれからかかる時間を示しているようだった。