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そうこうしているうちに1日は終わり、事務所に戻る頃には21時となかなか遅い時間になってしまっていた。お風呂に入り、遅すぎる夕飯を食べ終えれば、睡魔と疲労に支配されフラフラになったAが出来上がる。
「寝る場所は前来たときの場所と一緒ね。何か聞きたいことはある？」
「……ない」
「あーあー。随分とフラッフラだね。おいで」
両手を広げるホークスに逆らわず腕の中に収まると、ぐりぐりと胸元に額を擦り寄せた。伝わる心音が案外速いことに気付き、最速の男はここも速いのか、と見当違いなことを考えるA。実際は嫌がることもなく抱き締められたAが可愛すぎるせいなのだが、彼女は究極の鈍感娘だ。
そもそもナニカが生きやすいようにしておくと言った言葉が前提にあり、そのため自分に甘いのだと勘違いしている。勘違いと鈍感を掛け合わせれば、『恋』などという考えには辿り着かない。
「よいしょっと。あ、ヒーロー名って決めた？」
「ん。Aにした」
柔らかい声色で尋ねられれば、重たい瞼を無理やり開いて、やや低くなった声で億劫そうに呟く。理由を問われれば、うるさいと言わんばかりにホークスの首へ頭を押し付けた。しかし、何度も聞いてくるホークスに根負けして渋々口を開く。
「私が生きた痕跡」
「何それ」
「戸籍、なかったんだって。私、息がしたいの……」
事もなく言ってのけるA。それから睡魔に負けてしまい、すうすうと穏やかな寝息を立て始めた。Aを抱き上げたまま静止したホークスを放って、既に夢の中だ。
動揺で動けなくなってしまったホークスは腕の中で眠る少女に目を落とす。戸籍がない。その言葉は何よりも重たかった。見聞が広いホークスは彼女の事情も聞き及んでいる。身元不明で個性は強力、極め付けに記憶喪失。それだけで充分なインパクトを持っているにもかかわらず、今度は戸籍がないときた。
不幸は連鎖するとはよく言ったものだ。
「やけんってこげんことなかやろ……」
小さく呟いたホークスはゆっくり歩き出す。息がしたいなら俺がいくらでも酸素をくれてやるのに、などと思ってしまうのは苦しそうな彼女のせいで。しかし、ホークスでなくても息がしやすいように環境を整えてくれる人はいるわけで。
ホークスは思考を止めてAをベッドに降ろすと、ぐちゃぐちゃになった頭を整理するため、その隣へ体を滑り込ませた。
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怜(プロフ) - あのさん» これからいい事が沢山あるはずのなのできっと幸せになれますよ！更新頑張りますね！！ (2021年9月12日 23時) (
レス) id: 37b3e8feed (このIDを非表示/違反報告)
あの - 夢主ちゃん、つらいだろうなぁ〜ー・゜・(つД｀)・゜・(((最終的には私も泣いていましたw このお話は神作品です!!!! ((上から目線ですみませんｍ(｡≧Д≦｡)ｍ 更新頑張って下さいq(*･ω･*)pﾌｧｲﾄ! 応援してます(p｀･ω･´q) (2021年9月12日 6時) (レス) id: 897b0238c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2021年8月29日 6時
