53-2 ページ27
息が止まる。それでいいのって聞かれて、何かが揺らいだ。
僕を見るフロイド先輩の瞳は純粋で、僕の今までが崩れそうになる。
違う、違う違う！そんなことない！僕は、エンティティさまは正しいんだから！だって、オーバーブロットを止められる！本当は、もっといい方法があったのかもしれない。それでも、僕が相手した方が短時間で解決できるんだから！
これ以上フロイド先輩を見るのが辛くて視線を外す。それなのに、頬を掴まれて上を向かされた。
「トビウオちゃんはエンティティが好き。それは揺るがないんだと思う。でもさ、全部言いなりになる必要はないじゃん」
「い、言いなりじゃない……僕は、エンティティさまが、」
「本当に？ねえ、オレを見てよ」
ウルサイ。ダマラセロ。
突然声が聞こえて体が動く。フロイド先輩の肩を押して距離を取った。
黙らせろって指令が出たのに、それ以上は動けない。ううん、動かなかったんだ。
初めてエンティティさまに逆らって困惑してしまう。命令に背いても罰はくだらなかった。
「ね、大丈夫じゃん」
「ふ、ろいど、先輩……」
「んふふ、困ってるね、トビウオちゃん」
優しく頭を撫でられて、嫌がるように首を振っても手が外れることはない。
さっきまで聞こえていたエンティティさまの声はなくなって、呆れられてしまったのかもと焦った。でも、加護が消えている感覚はなくて。
なんで？怒らないの？だって、僕……。
「こんなことじゃ怒んねーって。トビウオちゃん、心配性だねぇ」
「信じてない、わけじゃなくて……」
「不安なんだよね。でも、大丈夫だったでしょ？」
「…………はい」
ぐるぐる回っていた思考がクリアになって、ちょっとだけ笑う。
そっか。そうなのか。エンティティさまはこれくらいじゃ怒らないのか。なんだぁ……。
「……ハッ……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 641人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜(プロフ) - もち。さん» ありがとうございます！自分の手の中にあるとなお愛おしくなっちゃうんでしょうね……更新頑張りますねー！ (2020年12月29日 1時) (
レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
もち。(プロフ) - フロイドに抱きこまれて一緒に寝ちゃうの可愛いかよ…っ！と思わず顔面を覆いました笑お気に入りだからエンティティ様の加護じゃなくて自分の手で護りたいのかい？フロくん…獲物は逃さないでね…更新楽しみにしてます！しかしながら無理はなさらず！応援してます！ (2020年12月26日 22時) (レス) id: 2eef4b8e10 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - yozakura5011さん» ありがとうございま〜〜〜す！！ (2020年12月24日 14時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
yozakura5011(プロフ) - とても・・・とても好きです・・・（鼻血） (2020年12月21日 0時) (レス) id: 87d7c098c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜
| 作成日時：2020年12月12日 1時
