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side:ジェイド

***



目の前が真っ白になった。
記憶を失ったAは僕たちのことを覚えてない。僕たちはおろか、自分のことまで忘れてしまっている。

激痛を訴える胸を押さえて、丁寧に説明をする。覚えていないのが好都合だなんて思えなかった。僕たちがAに嘘をつけるわけがないんです。


「〜〜〜というわけです。何か、質問はありますか?」

「いや」


そう言ったきり、黙り込んでしまうA。視線は一向に交わらず、身が引きちぎられる思いでした。


なんて、残酷なことをしてくれたのでしょう。神様という人がいるのなら、殺してしまいたい。
僕たちの想いを受け入れてくれたのに。ようやく伝えられるようになったのに。どうして……。

着替えるから、と言って部屋を追い出される。いつもなら、そう考えてしまって苛立ちをぶつけるように壁を殴った。へこんだ壁には目もくれず、歩き出す。


「ジェイド?どこへ行くんです?」

「図書室へ。記憶を取り戻す方法を探します」

「っオレも行く!」

「いえ。Aのそばにいてください。きっと、寂しいでしょうから」


フロイドなら、Aの気分を紛らわすことができるでしょう。僕は今、彼の前で平常心を保てそうにありませんから。Aに縋り付きたくなってしまう。どうして、と責めたててしまう。
泣きはらした目を見つめて、お願いします、と言えばフロイドは渋々頷いた。

お伽噺なら、Aは記憶を取り戻してハッピーエンド。ですが、これは現実。そう上手くいくわけがない。
胸をかきむしりたくなって、訳も分からず叫びたくなる衝動を抑える。


このままAが記憶を取り戻さなかったら?以前のような関係ではなくなってしまったら?もし、他の人間にAが取られてしまったら?

嫌な考えだけが思い浮かぶ。

ただ、名前を呼んでくれるだけで、それだけで良かったんです。だというのに、それすら奪われるのですか。

***→←番外編【記憶喪失】



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(プロフ) - リザさん» ありがとうございます!!気をつけますね! (2020年7月10日 15時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
リザ - 色々疲れて体調崩さないようにしてください(>_<) (2020年7月10日 12時) (レス) id: 5d727ab8ad (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Rioさん» 良かったです!!私も書いててちょっと楽しくなってしまいました……リクエストありがとうございました!更新頑張ります! (2020年7月10日 11時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - ンンン!とてつもなく良かったです!!マジで!リクエストに応えてくれて本当にありがとうございます!もう男主、尊い。ゲームに出てきてくれないかな(笑)これからも頑張ってください! (2020年7月10日 7時) (レス) id: a03ea3f041 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - うまるんさん» こちらこそありがとうございました!気に入っていただけて良かったです!テスト勉強お疲れ様です。ご自愛くださいね。更新頑張ります! (2020年7月10日 0時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年6月28日 0時

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