＊＊＊ ページ6
「わからぬ」
「なんですって？」
だろうな。
頷いて、シガレットケースからタバコを取り出す。学園長は驚いていた。
火をつけて、ゆっくり吸い込む。満たされる感覚。煙を吐き出した。
「これで、分かるだろ？」
鏡を睨みつけて笑う。鏡に映る仮面が目を見開いた。
悩ましげに口を開く鏡は、それでも俺にふさわしい寮はない、と言い切った。
「先程は魔力の波長がなかった。しかし、今は……。汝のそれはなんだ」
「ど、どういうことです！？Aくん！」
煙が上へと揺らぐ。鼻が良い獣人は眉を寄せていた。
臭くて悪かったな。
「聞いてますか！？」
「はいはい、説明すれば良いんでしょ」
グッと視界に映りこんできた学園長から少し離れて、タバコを消す。勿体ない、と思いつつ、シガレットケースも仕舞う。
未だに残るタバコの風味を感じながら、どう話そうかと考えた。違和感のない説明……。
しばらくの沈黙。ため息をついて、学園長を見据えた。
「俺の魔力は後天性のものだ。とある人から譲渡された。ただ、俺は魔力を溜める器がないらしい。だから、こうやって魔力を補充している」
「ま、魔力を譲渡？補充している？……そんなことが可能だというのですか！」
「可能だから、こうなってる」
ありえない、と言いたげな学園長。そんなことよりも重要なことがある。
「魔力があるのに、寮分けされないってのはどうかと思うけど」
「どの寮もふさわしくないのだ。汝は」
同じことを繰り返す鏡。割ってやろうか、と思い立って、人差し指を向ける。
タバコの残り香が鼻を擽る。まだ、魔力は霧散していないらしい。
人差し指にじんわりと熱が集まると、それは炎となる。
「欠陥品を壊すのは得意だ」
「欠陥品ではありません！！Aくんが異常なんですよ！」
「……人を異常呼ばわりするか、普通」
仮にもお前の生徒になるのに。
ふう、とため息をつく。辺りは騒然としていた。当たり前か。
寮の所属は決まらない、タバコを吸い始める。問題児でしかないな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2489人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白鳥 - ヤヴァイ夢主がハイキューの国見にしか見えないwwwwあっえーとこのシリーズとっっっっても面白くて毎回楽しく読んでます！これからも更新頑張ってください! (2022年4月2日 20時) (
レス) @page1 id: 788cb9ebbb (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - (名前)太中大好き人間さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2020年7月4日 12時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)太中大好き人間(プロフ) - タバコで魔力という柔軟な想像力が凄いです！これからも頑張ってください！ (2020年7月4日 7時) (レス) id: 5bc9e3e078 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - きせるさん» ありがとうございます、嬉しいです！続編でもどうぞご贔屓ください！ (2020年6月4日 15時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
きせる - とても面白いし、夢主の性格とか凄く好きです！続編も楽しみにしてます(*^▽^*) (2020年6月4日 13時) (レス) id: 36960cc352 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜
| 作成日時：2020年6月2日 0時
