成就 ページ19
今日こそは、聖杯戦争の最終日だろう。どの英霊もマスターも一挙に動き出している。勘当された筈の私と英雄王は、アインツベルン家のホムンクルスを寝かせた市民ホールで、最後の挑戦者を待ち望んでいた。
「…言峰さんには、後で御礼を言いませんとね」
「ハッ。自らが直接時臣めに手を下せなくて、残念だったな、華苑」
遠坂さんは、裏で繋がった言峰さんと英雄王の関係に気付けず、無様に刺殺されたらしい。まあ、私が殺してやりたかったが、同時に私の延命も決定。心の何処かで、安堵を感じている。
「英雄王は、生き残るのは誰だと思われますか?」
「さてな。キャスターは消滅し、ここ数日ランサーとそのマスター、そして征服王が脱落した。残るは狂犬と、あの騎士王と名乗る小娘のみ。華苑、貴様は誰だと思う?王たる我の前に立つ資格のある英霊の名は、愚かしいバーサーカーか?それとも哀れなセイバーか?」
さて、と考える。あのバーサーカー、接触したのは僅かな時間だったけど、セイバーへの執着と、パスを繋いだ時に薄らと感じたセイバーのような清純な魔力を考えるに、アレは、アーサー王の元に仕えた円卓の騎士ではないだろうか。真名なんて分からずじまいになるが、アレが円卓の騎士ならば、結果はセイバーの勝ちだろう。つまり、英雄王と勝ち合うのはセイバー、アルトリア・ペンドラゴンだ。
「お楽しみとさせて下さい」
ふと、魔力を感じた。目下に横たわるホムンクルスの女性が、聖杯へと転じた。いよいよ、最終局面。
「来たな。華苑は出ていけ。綺礼を探して来い」
「はあ…分かりました。ですが、供給している魔力は惜しみませんから。そのつもりで」
霊体化して、恐らく地下?に居るだろう言峰さんを探しに行った。そういえば、英雄王ってば悪い顔をしていた。未遠川の件以降、セイバーにお熱だった気もする。単に彼女が気に入ったのか、彼の寵愛を知らぬ間に勝ち取ってしまったのかは知らないが。
「あ、見つけた…言峰さん、大丈夫ですか?」
「華苑、か?なぜ…ここに」
「英雄王です。その傷…撃たれましたか。これは、噂に聞く衛宮切嗣の起源弾…ちょっとだけ我慢して下さいね」
傷だらけの神父服を脱がして傷口に手を当て、私の魔力を注ぎ込んだ。1度切り離されて勝手に結合を始めるという起源弾だが、私程の馬鹿チートな魔力なら、結合を止めて、助けられるかもしれない。彼の息が落ち着き始めると、天井から、ドロリとした赤黒い泥が見えた。視界が暗転した。
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まつよ - 面白かったです。是非、ステイナイトの時の主人公を見てみたいです。 (2019年5月29日 21時) (レス) id: 4baad1a05f (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年5月10日 15時) (レス) id: 483535372f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華苑 | 作成日時:2019年5月10日 11時