【wrwrd】それぞれの物語【短編集】 (ページ6)

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「うーん、得意かどうかは分からないけれど話すのは好きやで。それと会話が無意味と断定するのは宜しくないと思うよ」
「そうですか？お……私には無理です。面倒くさい、要件とか相談とかさっさと話し合って終わらせたいです」
　女子の相談は相談じゃないけど。
「Aちゃん女子間の相談とか話しとか嫌いやろ」
「重太郎さんは逆に好きそうですよね」
　彼なら自ら飛び込んで会話に花を咲かせそうだ。
「なぁその重太郎さんってやめん？」
「は？ ……まさか20歳すぎでお兄ちゃんとか言われたいんですか」
　ごめんなさい、ロリコンはわかんないです。
「ちゃうよ、これはただ単に俺が自分の名前好きじゃないから呼び方変えて欲しいって話」
　彼いわく、重太郎って名前は雄臭くて可愛くなくて好きじゃないらしい。
　男の名前に可愛さなんて求めないだろう。
「じゃあシゲさんとでも呼べばいいですか」
「なんかおっさん臭くなっためう〜」
　なんだコイツの語尾、めうってなんだよ。
「俺ね〜実は友達からオスマンって呼ばれとんのよ、せやからAちゃんも俺のことオスマンか、マンちゃんって呼んでくれへん？」
「元の名前の原型も感じられないんですけど」
　オスマントルコかよ。
「そんなことないで。圧田のオスに、太郎って男っぽいからマン、はいオスマンの完成！」
　んな３分クッキングみたいに……。
「ね、マンちゃんって呼んで」
「わかりましたオスマンさん」
　表情が一瞬強ばったのが見えた。
　なんだオスマンはアンタが言えって言ったんだろ。
「マンちゃん」
「オスマンさんでも良いって言ったじゃないですか」
「マンちゃん」
「オスマンさんでも━━」
「マーンーちゃーんー」
「……マンちゃん」
「うん、よろしい！ついでに家族になるんだから敬語もやめない？」
　敬語やめたら素が出てしまう。
　慣れるまで待ってくれとオスマンに嘘をつく。

　かくして高校生活最後の春、俺は自分を偽りながら苗字が圧田に変わり、新しい家族が増えた。
「Aちゃん甘いもの好き？ドーナツ食べるめう〜」
　やたら馴れ馴れしい義兄も手に入れた。

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こんな感じの長編を考えてます。
連載する予定は未定。