ずっと前からオマエしか見てねえよ【灰谷蘭】

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そんでそれ以降から兄貴の様子、ちょっとおかしくなったろ。


表に出さねえように上手く取り繕ってるけど、俺が何年弟やって来てると思ってんだか。バレバレだっつーの。


Aも気付いてるみたいだったから案外兄貴って抜けてるかも。(まあA関連でだけな)





「最近どうしたんだよ兄貴」




「りんどー、俺Aに嫌われたかも」



「はあ？」


梵天の事務室で珍しくがっくりと肩を落として落ち込む兄貴に事情を聞くと、それだけ言って黙り込んでしまった。


あとは意地でも口を開こうとしなかったから、仕方ねえからアイツから聞いてやろうと兄貴が都外の出張でいないタイミングでAを問い詰めた。






「マジ？」


Aから事情を聞いて思わず目を見開く。


いや、言っちゃ悪いけどスクラップ後にハイになってキスしただけだろ。それで悩んでたのか兄貴……？





前から思ってたけどマジで本命童貞。
奥手な鶴蝶よりもヤバいレベル。あの世にいるイザナが聞いたら爆笑間違い無し。



これじゃあいつまで経っても兄貴の初恋が叶うことはないので、仕方なく弟でありAの幼馴染である俺が仲を取り持ってやろうと兄貴には悪いが事情を一通り説明させてもらった。



反社の恋のキューピッドってなんだよって感じだけどな。




兄貴は明日出張から帰ってくる。

そのタイミングを狙ってAから情報を問いただしたんだ。計画は順調。




事情を知らねえ兄貴に「マイキーから伝言だ」と言って家に帰らせる。勿論マイキーから伝言なんてあるわけねえし、その場にはAもいる。






兄貴の想いを間接的に伝えられ、信じられないといったように頬を赤らめたAに「明日になれば分かる」と言って自然に上がる広角を隠すように俺は自室へ戻って行った。

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