ずっと前からオマエしか見てねえよ【灰谷蘭】

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そして翌日。

今日は蘭が都外の出張を終えて帰ってくる日だった。




「ねえ竜胆、この前の話ってどういうことなの」






昨日竜胆から言われたことがずっと頭の片隅に残っていた。



蘭が私のことをずっと好きだったなんて、そんなの知らなかった。

それを聞いてしまってからはずっと意識してしまって、蘭は今この場にいないのにどうにかなってしまいそうだった。




そんな私を尻目に竜胆は


「じゃあ答え合わせでもするか」と呟いて誰かに電話をかけ始めた。






電話を終えると、竜胆は玄関の方をちらりと見つめて再び私の方に向き直る。



「兄ちゃんさ、変なトコで臆病だって言ったろ」



「……うん」



「多分言葉にして関係変わるのが怖かったんだろうな。
一旦お前のこと引き離した時期もあったよ。でも、やっぱ捨てらんなかったみてえ」



「……？」



「ま、俺がこれ以上何か言うのもアレだしな。
兄ちゃん、お前のこと昔から本気じゃねえ時なんて無かったっつう話」







頭上にはてなマークを浮かべる私を置き去りに、竜胆がソファーから立ち上がると同時にガチャリと玄関の扉が開く。


そして「竜胆〜話ってなんだよ」といつものスーツ姿で帰って来た蘭と目が合った。








「は？オイ竜胆。テメェ一人だっつったろ。何のつもりだ」




「そろそろ正直になれよってこと。
いつまでも日和ってんじゃねえよ、兄貴」






私の顔を見るなりぎょっとした表情を浮かべた蘭はすぐに表面を取り繕って竜胆を睨みつける。




けれど竜胆はそれを物ともせず、すれ違いざまに「お前もそろそろ諦めて捕まってやれよ」と私の耳元で言い残してその場を立ち去って行った。

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