【番外編】彼方の銀世界できみと眠る【鶴丸国永】

祝福のトリツェット4 ページ24

「藤村さん、俺暇じゃないんですよ」



「はあ？」



「俺、この後彼女と約束があるので。じゃ」



「……！おい、おまそれ！はぁ！？」





はいはいと藤村さんをあしらって荷物をまとめて本部事務所を足早に去る。


一件のメッセージを確認して、政府本部地下のカフェテリアで待つ彼女に声をかけた。





「早かったね、旭さん」



「そう？」



「まだミルクティー頼んだばっかり」




湯気が上がるティーカップを持ったまま彼女は微笑んだ。こうして黙っていると美人なのにな、ととても口に出せない言葉は胸の奥に秘めておく。




「いやあAちゃんが結婚かあ、感慨深い」



「向こうの本丸は充実してそうで羨ましいよ」



「ほんとうにね。うちの本丸はなんでああなんだか」





あーあ、うちとは大違い。と羨ましそうに呟いた彼女は、俺が担当する本丸の審神者。




通称・ギャグ本丸の主こと鈴鹿さんだった。確かにと返事をしてここ数年の出来事を思い返す。





「鈴鹿さんも見習い二回追い払ったし、ブラック本丸にだって行ったよね」



「あと変な幽霊屋敷もね」



「思うんだけど、何で毎回俺も巻き込まれてるの？」



「……うちに大体いるからじゃない？」





それもそっか。と軽口を叩き合う。

Aさんの本丸も色々大変そうだったけど、こっちは別の方向で大変だった。

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