89_修羅場 ページ45
赤井side
「……言わなきゃ分からない…?」
辛くて苦しい時でも、いつも明るく振舞い平然を装っていた女
そんな女が、今にも泣いてしまいそうな悲痛な表情で俺に告げた。
「……すまない。」
「謝らないで?大君が私を利用しようとしていたように、私も大君を利用しようと思っていたんだから…」
諸星大という嘘の皮を被り、組織と妹のシェリーに近づく為に彼女を利用した。
彼女自身も、妹を組織から守ろうと、俺を利用しようとした。
だが、お前の“ソレ”は利用と言うより…
「ただ待つだけじゃあダメだって彼女のおかげで気付いたの。か弱い悲劇のヒロインはもう卒業。誰も助けてくれないのなら、自ら手を差し出せばいい。力が無いなら、鍛えればいい。
私が志保を助けるナイトになる。」
「お姉ちゃん…!!」
お前は優しい女だな。
「だから大君。私たちのうやむやな関係を一度リセットしましょう。私たちが次に進むのは、決着がついた後。全てが終わって、お互いに何のシガラミも無くなってから本当のアナタと向き合いたい。」
そして俺が思っていた以上にお前は、強い女だったようだ。
「大君、私と…別れてください。」
俺の目を真っ直ぐに見て
ハッキリとした声でそう告げた。
*
Aside
「…俺は、組織に潜入しているスパイ、FBI捜査官だ。」
「FBIって、あのアメリカの…!?」
ありえない、と言いたげにバッと私の方へ振り向いた志保ちゃん。
ほんまやで。という気持ちを込めて頷く。
「その顔で潜入捜査官って…Aが居なかったら信じてなかったわ。」
「ふふ、本当にね?」
「どいつもこいつも…、顔は関係ないだろう。」
少し疲労感を滲ませながら、赤井さんは眉間にしわをよせる。
けれど、なんでだろう。
赤井さんと明美さんの間には、どこかスッキリしたような清々しさがあった。
「…きっと、お互いに不安だったのよ。」
「不安?」
「裏切りや理不尽は当たり前なこの組織で生きてると、人を信じたり愛したりすることが難しくなる。そんな中でお姉ちゃん達は出会ったでしょう?
お互いに本音を隠して、それでも愛されたくて、でも裏切られたくなくて…
そんなぐちゃぐちゃな感情から解放されたから、2人ともこうして安心した顔をしているんだと思うわ。」
そう、姉を見守る志保ちゃんの横顔は
どこか大人びて見えた。
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仮面タロウ(プロフ) - 43 −ヨミ−さん» コメントありがとうございます!不安定な夢主の表現は特に気を使って書いてたので、そう言っていただけて本当に嬉しいです…!!更新頑張ります!! (2022年6月11日 23時) (レス) @page31 id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
43 −ヨミ−(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します´`* それぞれのキャラとの関係、文章の構成、過去故に生に執着しているのに論理感がどこか欠如してる夢主ちゃんとか書き切れないくらいに好きです…!!!!! 更新お疲れ様です、応援しております!!!! (2022年6月10日 21時) (レス) id: 1d67640196 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 雷音@RAINEさん» 私もニヤニヤ顔か見られないよう細心の注意を払いながらこのコメントを見ています笑。(ヒェ…勿体ないお言葉…!ありがとうございますこれからも頑張ります!!) (2022年5月31日 17時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
雷音@RAINE(プロフ) - 面白すぎて電車内で笑わないように下唇を噛み締めて我慢しているこの頃です(略:え、何この神作品!?今までに読んだことないほど面白いです!) (2022年5月30日 16時) (レス) @page15 id: 777f8f5945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仮面タロウ | 作成日時:2022年5月24日 17時