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127_バーボンside ページ35

バーボンside


彼女と出会ったばかりの事を思い浮かべながら目を瞑っていると、ポンポンと優しく一定のリズムをとっていた手が止まった。



「……私は慰める立場になれない。」



寝ていると思い込んでいるのだろう、震える声でそう言った。

おそらく前の仕事で入手したのだろう薬を飲んで死を選んだヒロ。

潜入捜査官としては正しい判断で、俺もヒロの立場なら同じことをしていただろう。


そんなアイツを救おうと必死で心臓マッサージをしていた彼女を見て、俺は救われた気がした。

ヒロを救いたかった。その気持ちが嬉しかった。

あの場にいた潜入捜査官(おれ)には、それが出来なかったのだから


ヒロの遺体を弄くり回した彼女を、軽蔑もしたし憤りも感じている。

死んでもなお、アイツは組織に縛られ続けるのか…と


だが、彼女のその歪んだ思考の中にヒロを忘れまいとしてくれていることに、嬉しい気持ちがある俺も彼女と同じく、歪んでいるのだろう。



「ごめんね…バーボンさん。彼を独占して…ごめんなさい…」



嗚呼…君は酷い子だ。

そんな事を言われてしまったら、嫌いになれないじゃないか。


彼女がヒロに向かって引き金を引いたあの瞬間から、僕達の間には深い溝が出来た。

工藤Aは命令だったとはいえ、警察官(ヒロ)に手を出してしまったその瞬間から、被害者から加害者になってしまったのだから


あの夜、ヒロの命を奪ったのはヒロ本人だが、そうさせてしまったのは、俺を含めたあの場にいた全員で、全員が加害者だ。

もう、前のような穏やかで平穏な日常を送ることは出来ないだろう。

それならば、前とは違った関係をまた築けばいいだけだ。



俺はベッドに顔を伏せて寝落ちてしまった彼女を抱き寄せベッドの中に入れ、

そのまま、まどろみに身を預けた。

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仮面タロウ(プロフ) - 深月さん» ですよね!!!夜の美術館とか似合いそうだなぁと思って書きました!いつかは夜のシチュエーションも書いてみたいですね(^^) (2022年8月21日 11時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - ジン……!!!!休日に一人で美術館巡っているとか可愛すぎます!そして、わかりみが深いです、ジン美術館好きそう(笑)続き楽しみにしています。 (2022年8月16日 21時) (レス) @page44 id: 8da4958f2c (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 小宮瑠璃さん» 嬉しい…!ありがとうございます!! (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - あお。さん» コメントありがとうございます!現在元気に3股してます!笑 これから4になるのか、もっと増えるのかは乞うご期待!! (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
小宮瑠璃 - 仮面タロウさん» めっさ楽しみですぅっ!!完結まで私はこの作品を推し続けます!! (2022年7月25日 22時) (レス) id: dbce0c6b80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仮面タロウ | 作成日時:2022年6月28日 12時

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