Ｎｏ．１２【inzmGO】CEN (ページ16)

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「ホントに剣城がいる！！」

　次の日の朝練、第二グラウンドにはユニフォームを着た剣城の姿があった。

「いたら悪いか」
「いやぁ全然？寧ろ嬉しい〜！」
「ふん……」

　相変わらず私への態度は冷たいが、まともに相手にしてもらえただけでもゴッドエデン時代から考えれば前進している。

「反田、今日も必殺技の特訓付き合って！」
「勿論！」
「なになに、必殺技作るの？」

　信助が私達の会話を聞きつけてやってきた。隣には狩屋君もいて、彼はやはりいつも通りの甘い微笑みを浮かべる。

「凄いな。この前はシュートで、今度は何？」
「ディフェンス技を作ろうと思ってるんだ。あ、そうだ二人ともディフェンダーだし意見をくれない？」
「俺で良ければいくらでも」
「うんうん！今度は僕が天馬の必殺技が完成する様に手を貸す番だ！」
「ありがとう！」
「「松風」」

　私と剣城の声が綯交ぜになった。思わぬハモりにギョッとして顔を合わせる私達を、他の三人が驚いた表情で眺めている。

「雑談するつもりだったなら俺の後にしろよ」
「違うよ、真面目な話！」
「何？二人して」

　そっぽを向く剣城。どうやら私に発言権を譲ってくれるらしいので、私はそれに甘えて言葉の続きを口にした。

「あのさ松風、化身の特訓もしようよ！」
「……！お前も気づいてたか。プレイ中のコイツから、黒い影が現れる事があると」
「じゃあ、剣城も松風に化身の話しようとしたの？」
「ああ。松風、もしかしたらお前、化身が出せるんじゃないか？」
「俺が化身を？まさかぁ」
「──いや、俺もそう思っていた。マエストロが以前反応を見せた時は気のせいかと考えたが、剣城と典子が言うのなら間違いないだろう」

　神童先輩の声に振り返る。いつの間にかサッカー部が全員松風の周りに集まっていた。

「昨日の河川敷で私しっかり松風から化身のオーラが出るの見たんです！丁度私と神童先輩の二人で化身の特訓してますし、一緒にどうかなって」
「どうだ天馬。放課後は化身の特訓にメニューを変えてみないか？」
「えっと、俺……」
「天馬の必殺技の考案って話から凄く大きな話になってきたなぁ……」

　信助がゴクリと生唾を飲む。

「ね。天馬君、取り敢えず必殺技は朝練で俺達と。放課後は化身の特訓にしたらどうかな？」
「えッ」
「何？反田さん」
「いいいやなんでも！」

　狩屋君が話す度に何か裏がありそうで身構えてしまうの、露骨だからどうにかしなきゃな……。