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「でも天馬の化身があればきっと次の試合でも活躍できるよね」
「次の試合って確か海王学園に決まったんでしたっけ？ 」
「ああ。そして海王学園は
全員がシード──剣城の言葉にどよめきが起こる。
「て事は全員が化身使い」
「それは違う。シードだからといって全員が化身を出せる訳じゃない」
「そうなのか？ 」
「ほら車田先輩、アイツを思い出してくださいよ。万能坂の磯崎！ 」
「あーあ！ 」
車田先輩はポンと、両手を小槌に見立てて音を立てた。
「そもそもシードとは、フィフスセクターから各学校に送り込まれその学校がフィフスセクターの指示に従っているかを監視する者……俺がやろうとした様に、力で従わせようとするシードもいれば、隠密に行動し、チームをコントロールするシードもいる」
「つまり相手がシードだからって、全員が化身を使える訳じゃないって事か」
「だが油断は禁物だ。シードは皆、フィフスセクターで特別な訓練を受けたサッカープレイヤー。恐るべき身体能力を有している。そんなシードの中でも更に化身を使える様な奴は稀……なんだが」
剣城は呆れた顔で神童先輩を見た後に言葉を濁した。ゴッドエデンにいるシード達も化身を習得しようと日々血が滲む様な特訓をしているのに、けろりと出してしまう神童先輩みたいなケースを目の当たりにすれば複雑な気持ちになるのも分からなくはない。
「全員シード……か」
「面白いんじゃね？ どうせやんなら、そっちの方が盛り上がるじゃん」
「浜野……」
「シードを揃えてくるって事は、それだけフィフスセクターもマジって事だし。そいつ等倒したら、一気に革命成功しちゃったりして。アハハハ！ 」
「……確かに、勢いはつくな」
「さっすが浜野先輩！ 」──松風が尊敬の目を向けた。
「まーな！ で、何か化身出すコツとか無いの？ 俺も出したいなあ、化身」
「アドバイスをしたいところだが、俺は化身を発動したきっかけはよく覚えていないな」
「あの時の神童は我を忘れていたからな。剣城と典子はどうだ？ 」
三国先輩に尋ねられたので思い出そうとするが、不思議と化身を使える様になった時の記憶がぼんやりとしている。確か私はゴッドエデンで──
「あれ……？ ごめんなさい、私もあんまり覚えてないかもです」
「……、俺はいずれ話します。何にせよ化身使いはなろうと思ってなれるものじゃない。素質があるなら鍛えてものにしておくべきだ。革命の為にな」
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作者名：やに | 作成日時：2022年9月11日 21時
