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「はい！ バランス良く食べないとね」
夏未ちゃんが持ってきたこの料理はサラダなのだろう。メロンが刺さってる。ブロッコリーにラディッシュ、振りかけられた煮干し。そして蟹味噌にしか見えない灰色のサラダ本体。
「はい」
三人揃って、なんとも形容し難い笑顔で返事をした。
私達は何とか夏未ちゃんの料理を食べ終わり(味もだがそもそも量が多かった。)食後のゆったりとした雑談を楽しんでいる。私と松風はオレンジジュースを貰った。
「今日お義父さんに会ったよ。びっくりしたなぁ」
「そう……帝国の地下に入ったのね」
「なっ、知ってたのか？ 」
「お父様から聞いていたわ」
「なんだよー、知らなかったの俺だけ？ 」
不服そうに頬を膨らませた円堂さんはいつもより子供っぽくみえる。
「黙っていてごめんなさい。革命の体制を固める為にも、雷門が孤独な反乱を始めてくれた方が都合が良かったの」
「孤独な反乱か……」
「そうすれば雷門に注目が集まって、鬼道君達が動きやすくなるわ。帝国に本部を作って準備を進める事ができたのよ」
「そーか……ま！ 準備ができた訳だから、いいか！ 」
「……フッ。ええ全部、貴方のおかげ」
「いや、俺じゃない。雷門イレブンのおかげだよ」
円堂さんが微笑み、目を伏せた。
「俺一人じゃこの革命は無かった。雷門の皆が、サッカーへの思いを見つめ直してくれたからだ」
「そうね。貴方がいた時代のサッカーが、今天馬君達に受け継がれているんだわ」
「うん。……頑張っていこうな、天馬、典子。この戦い、長いぞ」
蛇口からシンクへと水滴が落ちた音が部屋に響いた。
.
.
.
「お前が反田を放任するのは意外だった」
「反対しておかなければならない立場だからそうしたまでです。俺は寧ろアイツが雷門にいるのは好都合だと思っていますよ」
「と言うと？ 」
「反田の力を知っている者……即ちシードは、目に見えて彼女を警戒する。そのお陰で今回、帝国のシードを炙り出せたと言っても過言じゃない」
「だが私は不安だよ」
雷門総一郎は溜息混じりにそう溢した。
「彼女は既に一度革命の芽を摘んでいるのだから」
鬼道が手元のバインダーに目を落とす。そこには彼女の来歴が事細かに記載されていた。
関西出身。ファーストランクシード。
元
フィフスセクターの命令に従い、当該サッカー部を廃部へ追い込む。
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作者名：やに | 作成日時：2022年9月11日 21時
