君に笑顔を、なんてね/１ ページ1
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私が声をかければ、5人は少し驚いたようにこちらを振り向いた。心なしか表情が少し固く見える気がする。...どうしたのだろうか。
「 嬢ちゃん...先程の挨拶、お疲れじゃったな 」
「 あ、ありがとうございます 」
零さんがにこりと笑って私を労う。...なにか、隠すような顔。伊達にあの目で人を見てきたわけじゃない。いくら今は薬を飲んでいるからといって、嘘をついているかどうかはわかるのだ。
私に、都合の悪いことでも話していたのかな。...いや、零さんたちはそんな人じゃない。やめよう、こんなことを考えるのは。
「 A様 」
ふいに知らない声で呼ばれる。振り向くと、婦人や伯爵と思われる者たちが私をうっとりと見つめていた。...ああ、カルマンと同じような、目。
「 ...なんでしょう？ 」
口角を上げて、笑っているような顔を作る。
「 私達、A様にきちんと挨拶がしたくて 」
「 わたくし、伯爵家のーーーと申します。大変お美しいのですね、A様は 」
「 ええ、ほんとに。よければこの後のダンスで踊っていただけませんか？ 」
......この目、知っている。
舐めるような、値定めするようなぬるぬるとした目。
私が政治的にどのように使えるか、考えている目だ。そして、色欲が垣間見えるような。
「 ...ええ、時間が取れれば 」
「 やはりお忙しいのですか？ 」
「 はい、...まあ 」
嘘だ。この後は、特にない。だけれど嘘をつかずにはいられなかった。
一刻もこの場を立ち去りたい。そんな思いに駆られていると、急に貴族達の頭の上に文字が浮かび始めた。
［ チッ、踊れねえのかよ。あの5人の有力者のお気に入りともなれば仲良いことを周りにアピールしておきたいのに ］
［ うーわ、一度はやってみてえな。こんな顔して夜は激しかったりしてな ］
［ 男にチヤホヤされてきましたって顔ね。自分は他とは違いますって顔に出てんのよ ］
「 ......ぁ、 」
薬の、効果が、切れた。
こんな大勢がいるところで薬なんて飲んだら怪しまれること間違い無いし、第一薬は部屋にある。今切れるなんて、最悪だ...!!
ただでさえ、カルマンのことを思い出して頭痛があったのに、こんなの耐えられない。
あの時の記憶が、心の底にあるなにかが蘇ってしまいそうで、苦しい。
苦しい苦しい苦しい辛い痛い助けて誰か。
「 __すみませン 」
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髑髏(プロフ) - 好みドストライク過ぎて本当に好きです！この作品に出逢えてよかった！ (2021年5月10日 17時) (
レス) id: cc975a844d (このIDを非表示/違反報告)
あるみかん(プロフ) - 凪悠さん» ありがとうございます！表現とか気をつけてるので、そう言って頂けて嬉しいです！ (2019年9月27日 21時) (レス) id: 3df0130dff (このIDを非表示/違反報告)
凪悠 - コメント失礼します！嘘を食べたいから読ませて頂きました。繊細な表現で、読んでいてとてもワクワクします！これからも頑張ってください！応援しています！ (2019年9月1日 14時) (レス) id: 6330a111a2 (このIDを非表示/違反報告)
あるみかん(プロフ) - 雪羅さん» ありがとうございます！えええ、すっごく嬉しいです！白雪が綺麗な子ですから、それに合うような言葉を意識していたので…そう言って頂けて伝えたいことが伝わっていたんだな、とホッとしています笑 (2019年7月30日 9時) (レス) id: 3df0130dff (このIDを非表示/違反報告)
あるみかん(プロフ) - フラン(スマホ)さん» ありがとうございます！いつもコメントして下さり嬉しいです。ご期待に添えるよう精一杯頑張らせて頂きます！ (2019年7月30日 9時) (レス) id: 3df0130dff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるみかん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=48be83eaada675e79ed496ea5cdf8f4f...
作成日時：2019年7月29日 18時
