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｢彼女はいないです。｣
｢めめはモテるのに全部断ってるんだよねー？
もったいなーい｣
後ろから猫なで声が聞こえてくる。
｢この前だって1個上の先輩に告られてたしぃ｣
｢お前なんでそれ知ってんだよ｣
｢だってその先輩とバイト一緒だもん｣
ここへ来て初めて目黒くんと真実ちゃんがまともに話しているのを見た。
朝から真実ちゃんはふっかにべったりだったし、目黒くんもそんなにたくさん話す感じじゃなかったから。
そっか、目黒くんと真実ちゃんも同じサークルだから面識はあるんだ。
その割にはあんまり仲良くなさそう。
真実ちゃんには口調が荒いし、なんかツンケンしてる感じ。
苦手なのかな…
目黒くんのタイプじゃなさそうだもんね真実ちゃん。
こうやって人のことは感じ取れるのに自分こととなると分からなくなる現象に名前があるなら教えて欲しい。
そんなことをぼーっと考えていると目黒くんと目が合った。
にこっと笑ってくれたので、真実ちゃんとは違い嫌われてはいないだろうと胸を撫で下ろす。
途中パーキングエリアで休憩を挟みつつ2時間ほどで目的地の旅館に到着し、とりあえずチェックインを済ませ荷物を部屋に運んだ。
部屋割りは当然男女一部屋ずつ。
準備が出来たら海に行こうという話になっていた。
女子の部屋に着くがさっきから冴希と真実ちゃんの視線がバチバチしてるのが分かってとても居づらい。
｢あのー、真実ちゃん今日の旅行はふっか達から誘われたの？｣
荷物を整理しながら冴希が真実ちゃんに尋ねる。
刺々しいその言葉に怯むことなく真実ちゃんが答えた。
｢いいえ。
ふっか先輩としょっぴー先輩が会話してるのがたまたま聞こえて、他に誰か誘うかー？って言ってたから立候補しちゃったんです。｣
可愛らしいヒラヒラの水着を広げながらにこにこしている。
ふっかが誘ったわけじゃないんだ。
私はその事にほっと胸を撫で下ろした。
ってことはふっかの気持ちはまだ真実ちゃんにいってるってわけじゃないよね？
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作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2021年1月13日 20時
