【色松】来世前世と逢えたなら (ページ22)

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二階に上がって、カラ松の部屋に入る。
何度か来たことがあるが、その度に模様替えされているのは何故なんだろうか…。

一「…で？どこがわかんねぇって？」
カ「えっとだな…ちょっと待ってくれっ」

カラ松は手紙を机の上に置くと、学生鞄の中を漁る。
取り出したのは、数学のノートだった。

カ「ここのな、基本練習っていうところが分からないんだが…」

カラ松は、ノートを開きながら一松に見せる。

ノートには、『基本練習』と書かれた下に何やらでかでかと絵が描いてあった。

それは、昔の一松_____シスターの絵だった。

一「………お前、授業中に何してんだ」

カ「え？うぉわ！？？えっ、ちょ、けけ、消してなかったのかこれっっ」

慌てふためくカラ松を見て、一松はフッと悲しげな笑みを浮かべた。

既に、此奴は前世に捉われて……

カ「…、……一松先生？」

一「…………お前さぁ、忘れろよ…それ」

一松自身、前世の自分が憎くて仕方がなかった。
何故、あんな事を言った？

『友達でも、兄弟でも』？

馬鹿野郎。友達でも兄弟でもねぇだろ、これ。
教師と生徒…一番厄介な関係だろ。

気がつけば一松は、カラ松に背を向けていた。

カ「…帰る、のか？」

一「………」

一松は俯いたまま告げる。

一「俺はもう、お前には会わない…」

そう言って、階段を降りていく。

取り残されたカラ松は、ただ呆然と、立ち尽くしていた。
しかし、やがて机の上の手紙に手を伸ばした。

カ(…微かに、先生の匂いがする…この、手紙は)

手紙を開けば、中に入っていたのは一枚の紙。

描かれているのは、かつての二人で。

『貴方が好きでした』

なんて一文が添えられていて、

カ「…ッ、なんで……何で俺、女じゃなかったんだろ………

もし俺が女なら、こんな、こんな事にはならなかった…」

手紙に、涙の跡ができる。
カラ松は声を押し殺すようにして、泣いた。

悲しいとか、苦しいとかじゃない。

悔しさと、憎しみ。

自分に対する…其れのせいだった。