オカルト ページ8
「あんず!」
あんずを1目見に来たという人達のせいであんずはクラスを出たすぐそこだと言うのに、たどり着くのに一苦労した。
「ごめんAちゃん。私のせいで。」
謝るあんずに、良いって、と言いながらまた人だかりに顔をしかめる。
「どこか人気のないところに移動しようか。」
私が提案するも、まだ転校してきたばかりの私達は人気のないところなんて思い浮かばずうーん、と唸る。
「あ、朔間先輩に聞いたら良いんじゃないかな?」
朔間先輩_あんずが口にした人物は確かDDDの前の大会の時、紅月と対戦したユニットのリーダーだった筈だ。
「じゃあ3年生の教室に行く?」
問いかけるとあんずは首を振った。
「ううん。朔間先輩は軽音部の部室にいると思う。」
そうして私たちは軽音部に行くことになった。
軽音楽部と書かれたプレート。此処が軽音部か。来ることもあるだろうし覚えておこう。
「失礼します…?」
あんずの後に続いて中に入ると、何やら棺桶が置いてあった。
「なにこれ。この学院の軽音部ってオカルトマニアの集いとかなの?」
中に何か入ってそうで後ずさりした。
「やっほー、あんずさん!」
「わっ!」
不意に後ろから声がして結構驚く。
「と、あれ?夢ノ咲学院の普通科の子…?プロデュース科はあんずさんしかいないし…?」
「いるんだよ、もう1人。知らないの、兄貴。」
ひょこっともう1人、同じ顔が現れた。双子かな?
自己紹介した方がいいよね。
「2年のAAです。」
えー、知らなかったー!と兄貴と呼ばれた方が叫ぶ。
「俺は葵ゆうたって言います。こっちが兄の葵ひなた。ピンの色で見分けてね。」
ゆうたくん_の方がそう言った。兄の方もよろしくね〜と手を振る。
「で、此処に何か用事ですか?」
と話題を振ったひなたくんの方。
「朔間先輩に用事があるんだけど、起こしてくれないかな?」
…起こす?!
「OK!俺たちに任せてください!」
いやまさかその棺桶の中に…?!
任せて、と言った葵くん達は笛のようなものを取り出すとぴーぴーと吹き始めた。
本当にオカルト集団じゃない?あんずはどうしてこんなに普通にいられるの?
戸惑うわ、これは…。
ぎぃぃぃぃ
軋むような音と同時に棺桶が開く。
「なんじゃぁ我が愛し子達。」
ぬっと、朔間先輩が姿を現した。
いや本当にビビるから。
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作者名:紫乃月 | 作成日時:2019年12月26日 22時