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レッスン ページ5

授業が全部終わって、プロデュースの時間になった。プロデュースといっても私はまだまだ何も出来ないからスポーツドリンクを用意したりタオルを用意したりするくらい。

今日はTrickstarとRa*bitsの合同練習だ。

となると、必然的にあんずと顔を合わすことになる。

何か言いたげな目を向けてくるあんずを知らないフリして通り過ぎた。

「お前、大丈夫か?顔色悪いぞ?」

仁兎先輩が私の顔を覗き込んだ。

「大丈夫ですよ。それより早く始めましょう。」

休日と違ってあまり時間もないですし。

そう言えば、そうだな、と二兎先輩はみんなの方に行った。

健気に練習している1年生の姿を見ていると自然に頬が緩む。この子達もまた、アイドルの素質があるんだと思う。分からないけど。



それよりも、あんずは私の仕事を奪いすぎだと思う。私が動くのが遅いのもあるけど…。休憩になるとすぐにスポーツドリンクを全員に配って、タオルを渡して、何かアドバイスを与えて。

私って何もしてないんじゃ…。

何もしてないって怒られるんじゃない?
嫌だ、本当にあんずといるとモヤモヤする。劣等感があって本当に嫌になる。

「Aちゃん先輩、なんか怒ってるんだぜ?」

ふと天満くんにそう言われた。

「え、怒ってるように見える…?」

自分がどんな顔をしてるか分からないし焦る。

「なんか、むっすーってしてたんだぜ!」

天満くんが指摘すると他の1年生も私の方を見てくる。

うそ、そんな顔してた?咄嗟に顔を隠した。

「あはは、全然大丈夫ですよ。恥ずかしそうな顔をしてただけですから。」

真白くんがフォローしてくれるけど、それはフォローになってないんじゃないかな。

「え〜、そう?変じゃないよね?」

まだ不安でそう聞くと、紫之くんがにこりと笑った。

「大丈夫ですよ〜。」

楽しそうな1年生組に胸がほっこりしたのも束の間、レッスンが再開した。

私はずっと、ひとつの視線を知らないフリしていた。

甚だしい→←あの子の気持ち



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作者名:紫乃月 | 作成日時:2019年12月26日 22時

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