Nのカルテ (ページ16)

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｢なんか大人っぽいことしたね俺ら｣

｢だな。温泉とか大人より大人だろ。(笑)｣

旅館に戻った俺らは、浴衣に着替え、旅館から出る夕食を頬張る。

リスみたいに口いっぱいに詰め込む翔は、成績トップの奴とは思えないほどの幼稚なビジュアル。

｢詰め込みすぎ(笑)｣

｢@#&!=*+＄｣

｢…あぁ、美味しいって言ってんのね？(笑)｣

この時間が幸せすぎてお酒がなくても酔いしれそう。

｢星、綺麗だな｣

｢だな。てか、『星が綺麗ですね』の意味知って言ってんの？｣

｢え？｣

｢『あなたに憧れています』とか『あなたは私の気持ちを知らない』っていう意味があんの。｣

｢そうなんだ。まぁ、憧れてんのは間違えないな。｣

｢え？｣

｢言葉選びのセンスが良くて、話してて飽きないとことか憧れてる｣

｢…｣

部屋の明かりを消し、満天の星の下で夏の風に頬を撫でられながら、2人でなんでもない会話をする。

途中から真剣な感じのトーンになって、俺に憧れてる。なんて言う翔に心底驚いた。

あえて、突っ込んだり、照れ隠ししたりせず、ただひたすら星を眺めている。

リュックに入れてきたゲームも、今夜は出番がなさそう。