Nのカルテ (ページ15)

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｢ねぇ、親父が別府旅行のペアチケットを会食で貰ったんだって。
けど、お袋が大学教授なもんだから行ってる暇なくてさ。
俺らで行かね？｣

｢え、がち？｣

自習の時間、教室の隅でのんびりと話す。

もうすぐ夏休みだね。という会話からそーゆー展開になった。

｢さすが国会議員からのプレゼントって感じで、飛行機代も込だし、自己負担の金額は熱海旅行にも及ばないよ。どう？行かね？｣

｢いや、もちろん行くわ。てか、飛行機代払ってでも行く気でいたわ。そんなに金無いわけじゃないから見下すな(笑)｣

｢分かってるって(笑)
よし、決まりな。日程とかはこれから話し合ってこ。｣

｢うん。ありがと｣

ってなことで、俺らは終業式の翌日に東京をたつことにした。

｢うわ、顔色悪っ(笑)｣

｢若干酔ったわ｣

空港に着いた途端、頭が重くなる。

けど、旅行が楽しみすぎて体調で悩んでるなんてことは勿体ない。

小さい頃はてんかん発作が怖いからって、修学旅行や林間学校、遠足さえも行けなかった。

だから、旅行がはじめてな僕にとっては最高に楽しみでしかない。

リュックにスマホとゲームと財布と薬しか入れてきていない僕。

同様に、ほぼ空な状態のリュックしか持ってきてない翔。

現地で買えばいいやって話になって、こーゆー状態になってる。

お揃いの下着やお互いに選び合った洋服。

他にもたくさんの思い出の品を買って、旅館に行く。

そこから、レンタルした自転車で地獄めぐりへ。