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1話 ページ3

1話

私は、その診断を受けて絶望に暮れた。

…信じられなかった

ついこの間まで私、元気だったのに?

なんで急に、こんな…。


『悪性の腫瘍が腸あたりにありまして…。

この先、転移するかもしれないので経過をみないといけません』


腫瘍。

テレビの中で見たけど、自分に出来るなんて思ってもいなかった。

入院するのかな?て思ったけど、まだその必要はないらしい。

一ヵ月後に、また経過を見るらしい。


薬を飲みだして、めまいや気持ち悪さは治まったけど。

お腹が少しだけ痛い。


「なんでっ…?」


なんで私なんだろう。


こんなことに恐怖を感じるなんて・・・。


「りっちゃ……」


…何て言うの?

腫瘍が出来たって?

怖いから助けてって…?


言えない。

そんなこと絶対言えない。


りっちゃんの人生まで巻き込みたくない。

私と一緒にいたら、絶対に苦しむ。

りっちゃんには…

幸せになってもらいたい。


だから…。


次の日あたしは、りっちゃんに電話した。

めずらしくワンコールで出てくれて


凛月「A...?Aが電話かけるなんてめずらしいねぇ〜♪」


もう、この声聞けないんだな…

そう思うと、涙が出そうになるけど…

ぐっと堪えて


「りっちゃんごめん。

急にかけちゃって…寝てた…?」


凛月「起きてたよ♪まぁ…今はもう日が暮れて俺は元気だからねぇ〜
それでAどうしたの…?」


優しく聞いてくれる。



ごめんね…

今から私、酷いことするから

りっちゃんが私のこと嫌いになっちゃっても仕方ないような…


「別れてくんない?」


不思議なくらい、心が落ち着いていた。

ほんとは分かれたくなんかない

でも…りっちゃんが幸せになってくれるためには、こうするしかない

「私、りっちゃんといるの疲れた。
いっつも寝てるし…私が面倒見ないと授業にすら出ないじゃん…それが私にとってどんだけ負担だったかわかる?
りっちゃんにはわかんないよね?!」


嘘…


凛月「A...?」


「...私にりっちゃんは必要ない」


凛月「…ちょっと待っ…!!」


ピッ

それが、最後の声だった。


今言ったこと全て、嘘の塊。


それを、りっちゃんに言ったんだっ

大好きな人に、言っちゃったんだ...


「りっちゃん...大好き...」

誰よりも、何よりも

この世界のなかで何よりもかけがえのない人…

だから...







さようなら








大好きだった……よ...

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Karen(プロフ) - とても好きです、。更新楽しみにしています! (2020年8月25日 23時) (レス) id: 928e02b8ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもちうさぎ | 作成日時:2017年3月12日 17時

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