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現実 ページ11






ついに全国大会決勝戦。絶対に三連覇する。




「調子がいいみたいだな、精市」




俺は吹っ切れた。常勝立海、三連覇のために。


ポケットの中の鍵を握りしめる。

結局、俺はあのロッカーの中身を見なかった。

幽の言う通り、全国大会を優勝するまではみないことに決めた。




「急に堪忍な……。これ、渡して欲しいって頼まれたんや」




突然話しかけてきたのは氷帝の忍足侑士だった。
差し出してきたのはドリンクやゼリー。どうやら差し入れらしい。





「……これを、誰から?」




「立海テニス部のファンや」






ファン、と聞いて思い出すのはあの子だった。


柳と忍足が離れた所で話をしているのを、ぼんやりと見つめていた。





***




俺の出番がきたようだ。

これが終われば俺は……なんて考えている暇もない。


俺は目の前の相手(越前リョーマ)に勝つことだけを考えていた。




上着(ジャージ)肩から落ちてるよ」




それは試合序盤だった。俺の後ろにはボウヤによって落とされたジャージがあった。





ボロボロのジャージ



地面を赤く染める色



それが徐々にジャージを赤く染めて__






「…っ!?」






俺の頭に突如浮かんだ記憶がフラッシュバックする。


なんだ、今のは



俺は頭を抱えてうずくまる。



集中しろ



勝つんだ、この試合




顔を上げて立ち上がるとボウヤは不思議そうな顔をしていた。




「ボウヤ、これは上着(ジャージ)を落とすゲームじゃないよ」




「あっそ。じゃあ、そのゲームは俺の勝ち!」





『精市のジャージを落とした私の勝ち!』






……まただ。俺の知らない記憶。

誰かの声が聞こえた。








***






ボウヤが天衣無縫の極みに至った。





「テニスって楽しいじゃん」




『テニスって楽しいじゃん』





あの声が聞こえる。



ふざけるな!テニスを楽しくだと!



負ける事は許されない、それが王者の掟





『テニスって楽しいじゃん。


でも、負けたら楽しくないから。


私は勝利に貪欲な精市のテニス、好きだよ。』







ゲームセット、ウォンバイ越前リョーマ6-4






俺の頬を伝うのは、汗か涙か____




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設定タグ:テニスの王子様 , テニプリ , 幸村精市   
作品ジャンル:恋愛
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アマリス(プロフ) - はあー・・・。良かった!プロポーズか・・・。別れなくて良かった。疑ってごめんなさい、幸村君!夢主とお幸せに! (2019年10月31日 15時) (レス) id: 9443474794 (このIDを非表示/違反報告)
アマリス(プロフ) - シリアス過ぎる・・・。幸村と夢主が別れるなんて嫌!!ダメ、別れないで!! (2019年10月30日 9時) (レス) id: 9443474794 (このIDを非表示/違反報告)
Le-ca(プロフ) - スッゴく面白いです!ゆっきーと立海推しだから楽しい!それに、文章力とタイトル、語彙力に話の進め方が最高。シリアスありつつ、硬くなったり飽きないから大好きです!これからも頑張って下さい! (2019年9月29日 20時) (レス) id: 0ae78945e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そらの | 作成日時:2019年9月23日 16時

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