I wish 02 ページ16
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｢へー、別れたんだ。でも櫻井モテるからすぐ彼女できるでしょ｣
｢どうかなー。翔はモテるってるよりは押しに弱いだけなんだよねえ。
かわいい女の子にちょっと優しくされたらすぐ好きになっちゃうんだから｣
｢おい、そこはモテるでいいだろ｣
｢だからー、次の彼女は私がジャッジしてあげるからね｣
櫻井は気がつかないが、これも周りへの牽制。
櫻井には手を出すなよ、という今井のメッセージが女子たちだけには伝わっている。
そしてそんな今井のマウントになんて気がつかない男子たちは、今井が一番望んでいる言葉を言うのだ。
｢そんなに2人仲良いならさー、付き合えばいいのに｣
｢そうだよ、高校のときから一緒なんだろ？今井が櫻井のこと一番よく知ってんじゃないの？｣
男たちのナイスアシストに、今井は思わずにんまりと微笑む。
となりの櫻井がそれに気づくはずもなかった。
｢うーん、私はともかく、翔的にそれはないでしょ。私、翔の姉貴みたいな感じだからさあ｣
"私はともかく"という部分を強調して、櫻井にアピールした今井。
回りくどいやり方だが、どれだけ寄り道したって最終的に自分の存在に気がついたらそれでいいと今井は思っているのだ。
だから、今井の戦いは長期戦。
｢へえ…翔くん彼女と別れたのか……｣
誰にも聞こえない声で、ぼそっとつぶやいた男がいた。
お酒を飲みながら、静かに会話を聞いていた男。
今井が牽制対象にしていたのは女子だけ。
しかしこの場には、牽制するべき相手がもう1人いたのだ。
｢ちょっとトイレ行ってくる｣
｢はーい、いってらっしゃーい｣
櫻井が席を立つと、その男もこっそりと席を立つ。
櫻井が少しふらついていることを男は見逃さなかった。
｢翔くん｣
櫻井がトレイから出てきたところで声をかける。
櫻井はお酒で赤くなった顔をあげた。
｢松潤もトイレ？｣
｢んーん、翔くんが心配できたの。千鳥足寸前だよ。このまま抜け出しちゃおうよ｣
｢でも…みんなまだ飲みそうだし…｣
｢大丈夫。翔くんの荷物も持ってきたし、お金も置いてきたから｣
そう言って、櫻井のカバンを渡した松本。
今井の目を盗んで、密かに櫻井と2人きりになるタイミングを見計らっていたのだ。
松本潤、櫻井と同じ学部の男。
女子よりも手ごわい相手が櫻井に迫っていることに、今井はまだ気がついていない。
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
