ハッピーエンドにさよならを07 ページ11
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｢…おい、櫻井…｣
さっきまであんなに抵抗していたのに、声をかけてもぐったりとして返事がない。
｢おまえ、おい、櫻井大丈夫か？｣
柄にもなく焦って、周りのやつらのことなんて忘れて櫻井に駆け寄った。
頬を叩いても、反応してくれない。
俺が必死になって声をかけていたら、いつの間にかズボンを履いたやつに、肩をぐっとひかれた。
｢おい、松本。おまえどうしたんだよ？こいつのこと好きなの？｣
｢は？｣
｢いつもおまえは我関せずで気にくわなかったんだよ。せっかくいいとこだったのによお…。邪魔してんじゃねえよ！｣
頬に痛みが走ったと思ったら、相手に殴られていることに気づいた。
殴られた頬がじんじんと痛む。
ああ、そうか。
今まで殴られたやつはこんな痛みを感じていたんだ。
｢はあー、シラケた。帰ろうぜ｣
俺を一発なぐって、あいつらはゾロゾロと倉庫から出ていった。
殴り返そうなんて思いもしない。
ただ、ぐったりとしている櫻井が怖くて。
死んじゃうんじゃないかと思えて、とりあえず服を着せた。
雨で冷えた空気のせいで、櫻井の体も冷たい。
｢……櫻井、初めてわかったよ｣
目を閉じたままの櫻井に声をかける。
反応はない。
｢殴られるのって、痛いんだな…｣
ひとり虚しく呟いた言葉は、倉庫に響いて自分にだけ返ってきた。
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
