episode218 ページ18
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｢俺、別れたくない...。ひとりは嫌だ...｣
口から出た惨めな本音。
みっともない。情けない。
別れたくない、だなんてめんどくさい女みたいに泣くなんて。
恥ずかしくてあきれて、涙が溢れる。
でも、もうひとりは嫌だ。
西島が亡くなったときのように、ひとりぽつんと取り残される空虚感。
後ろ指差されて、全員から蔑まれて。
そんな孤独はもう嫌なのだ。
松本と結ばれて、やっと忘れかけていたのに。
(またこれだ......)
こんなにポロポロと泣く自分を松本はどう思うだろうか。
好きって言ってくれる言葉に偽りはないのだろうか。
松本は本当に、自分のことを好いてくれているのだろうか。
(俺のことなんか......)
握っていた手を引っ張られて、松本の元に倒れる。
突然のことに反応も出来ず、されるがまま。
松本の胸に櫻井は倒れたが、抱きしめてはくれなかった。
｢どうしたら...許してくれる...？｣
お互いぐちゃぐちゃな顔のまま、見つめあった。
松本が流れた涙を拭っても拭っても、また櫻井の瞳は潤んでしまう。
それは松本も同じだった。
許すとか、許さないとか、もう分からない。
｢わかんねぇ...。怒ってるのか、悲しいのか、苦しいのか...。全部一気に来すぎて、どうしたらいいかわかんねぇよ｣
止まることを知らない涙が、松本の肩を濡らす。
きゅって松本の肩口を握りしめる櫻井の手に、松本は自分の手を重ねた。
櫻井のことをきつく抱きしめても、怒らないだろうか。
怒ってもいい。
松本は強く強く、櫻井を抱きしめた。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2015年11月1日 21時
