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縣の血筋には誰一人として呪術師は存在しない



縣Aだけが突然、呪いをもって産まれた




小さい頃から器用な子どもで

そのちからで周囲の人間を傷つけたことはなかった









はじめから、どこか諦めていた

なに不自由ない幸せな生活は彼女にとっては退屈で仕方なかったんだろう





なにもしなくても全てがうまくいく

そんな産まれた瞬間から出来上がっているレールの上を進むだけの人生をめちゃくちゃにしたかったんだ、きっと





私は代々縣に仕える家に産まれ、幼馴染のように共に育った

だから知らされていた(・・・・・・・)

うまく操縦するために、








…………大人たちは気づいてなかった



彼女がその身諸共、縣を滅ぼそうとしていることに









『お前にはちからを分けてあげる』









なにも特別じゃない私は



聖人の笑みを浮かべる彼女に酔って









『一緒に天国へ行こう』









あの時、私の世界は掌握されてしまった









この世界(地獄)から完全に自分を消し去るために

1番近い存在であり、縣Aの愚行の記録者となり得る私を決して逃れられない呪いに縛り付けた









なんて愚かな、









あの女は物心つく前から破壊へと向かっていた


鳥が自ら殻を破るように、

内側からじわじわと





そうして


あの女が15の夏、縣は完璧に機能を喪った





数多の歴史が染み付いた屋敷は土に還り


代々受け継がれてきた地位も名誉も





皆、死んだ





私はきっと地獄に堕ちる


一族が絶え、安堵する自分にそう確信した









『星漿体を殺す』









『うん、そうしよう』


『それがいい』









明日の朝食を決めるような物言いで言い放たれたそれに深い理由はないのだろう







ただ、



死んだ一族が羨ましいと思った



弔いよりも先に


この世界(地獄)から逃げ果せた彼らに憎しみを贈った







呪いは廻る、幾重にも




私は既にあの女と同じだった









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しき(プロフ) - 神作すぎる (2023年4月9日 0時) (レス) @page50 id: 3f65d643db (このIDを非表示/違反報告)
haruk1204(プロフ) - 妄想小説っていう類には収まらない話だから全呪術廻戦ファンは読んで見て欲しい、、、何回読んでも飽きません。お願いですから永遠に削除しないでください。 (2022年12月3日 17時) (レス) @page50 id: d1652f67c1 (このIDを非表示/違反報告)
- 素敵でした。七海の、陽だまりよりも暗闇が似合いそう、と言う形容が記憶によく残りました。また読み直そうと思います。 (2022年6月14日 1時) (レス) @page50 id: b420da21f1 (このIDを非表示/違反報告)
扉子(プロフ) - 那乃さん» コメントありがとうございます。この子を象徴とするものは作らずに話を書いたためイメソンなど教えて頂けるとすごく嬉しいです。ありがとうございました。 (2021年6月13日 23時) (レス) id: 655d1d8ce1 (このIDを非表示/違反報告)
那乃(プロフ) - 何故かこの子には「春、プールサイドの気象予報士」という歌が合うと思った。 (2021年6月5日 21時) (レス) id: 4d924b4f2c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:扉子 | 作成日時:2020年12月10日 23時

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