ヒプマイ小説【失声少女と12のヒーロー】 (ページ1)

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●第1話ページ1

お父さんを事故で亡くしてから、お母さんは毎日のように部屋に引きこもっては泣いていた。

そんな時、私は必ずお母さんのいる部屋の前に立って歌う。すると、お母さんはゆっくりと扉を開けて出てくる。

「Aは歌が上手ね、貴女の歌は私をいつも励ましてくれるわ」

と、言って私を優しく抱きしめてまた泣く。

そんなある日の事、いつもの様に大学へ行くと…同じ学科の人達がヒソヒソ話をしていた。

「何を話しているの？」

そう言うと、1人の女子が暗い顔でこういった。

「Aのお母さんが倒れて…病院に運ばれて…今、亡くなったって！」

言葉が出なかった…今朝まではあんなに元気だったのに。私は、先生の車に乗せてもらい病院へと急いだ。

病院へ着くと、背が高くて髪の長い先生が待っていた。私は彼の顔を知っている、「神宮寺寂雷」お母さんから「彼は天才医師」だと聞いている。

「お母さんは？！」

すると、医者は後ろを向いて

「こちらへ…」

と、お母さんのいる病室へと案内した。