【ヒプノシスマイク】夢野先生の許嫁になりました

17話 ページ18

「…一人暮らし、始めたんだって？」

作るメニューはオムライス。私が玉ねぎの皮をむいていると、一郎くんはそう聞いてきた。
…なんか、心配されてる？


「…えっと…うん。そうだよ。」

私はちょっと嘘をついているのが申し訳ないと思いながらもそう言った。

「…そうか。やっぱり、お前の……その、親と上手くいかなくて…とかか？」


え…？



昔から、私は両親と不仲……というか、私が何も出来なさ過ぎて失望されていた。
両親はその代わりに完璧な兄と妹を可愛がっていたので家には私の居場所は無かった。

その事もあって、山田家にはお世話になっていた。

…その事を、心配してくれてるんだ。



「…今まで、よく頑張ったんだな。」

一郎くんは、頭をぽんと撫でてくれた。


「……一郎くん達こそ、お母さんとお父さんが居ないのに…頑張ったんだね」

一郎くんは「まあな」というと少し間を置いて

「こっちには3人いるからな。それで乗り越えられたってのもあるな。でも、お前は1人だ


…A。」

「…何？」


「お前が、家にも居場所が無くて、1人じゃ寂しいと思ったら……お前の居場所はここでもいい。
…いつでも頼れよ。」

目頭が熱くなって、涙が溢れた。


「…ありがとう。
一郎くんは、前から全然変わらないね。」

「…何だそれ、褒めてんのか？」

2人して笑った。

…そう言えば、あの時も山田家に助けられたんだっけ。

そんな彼らと一緒にいられることに深く幸せを感じた。



「…よしっ、料理再開だ！」

一郎くんは、私の肩を叩くと「ほら、みじん切りが粗いぞ」と言った。

「…お、お手柔らかに…」

18話→←16話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す