逆鱗に触れた。【我妻善逸】

廿漆 ページ28

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最近、善逸が可笑しい

任務を怖い怖いと言いながらもすっと行くようになったし、お給料を貰えて今までにないくらい嬉しそうにしていたし


それに...

女物の簪を見て幸せそうに微笑んでいた




禰豆子ちゃんにあげるのかな


胸がちくっと針で刺されたかのように痛む


少しの間だけでも好きで居させてと言ったけれどいざ誰かのものになると思うと泣きじゃくりたくなるほど辛い





「...あっ、A」



慌てたように簪を隠す善逸


幸せそうな笑み


少し前ならまだ綺麗な笑みで返せたかもしれないがこんなにも好きになってしまった今

禰豆子ちゃんに思いを伝えようと思う、なんて言われてしまっては私は耐えることが出来ない



それでも私はぎこちない笑みを精一杯浮かべる




「話があるん...」

「女物の簪？綺麗だね。
禰豆子ちゃんにあげるの？頑張ってね！」




善逸の言葉を掻き消すように
善逸より少し大きい声で遮る

泣きそうになり、背を向けて歩き出す




禰豆子ちゃん
善逸

お幸せに




本人に言う事なんて出来そうにないので
小さく心でそう呟いた





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