一話 ページ3
「A視点」
今日も、無駄な治療が始まる。
治療っていうのは、私の恐怖症を一時的に治す事の出来る治療だそうだ。
と言っても、成功率は極めて低く、大体0.005くらいらしい。
「こんにちは」
と言って入ってくるのが、私の専門医の人。
斎藤 一夜さんだ。
黒いパーカー。無職と言ってもいいだろう。そんな服を羽織った斎藤先生は、治療の準備をした。
「よろしくお願いします」
と私は一言言い、いつものように治療が始まった。
勿論麻酔はかけられていたので、私はいつものとおり眠ってしまった。
___私は夢を見た__
何処かの中学校で、私と周りの人々が笑いあってる夢。
でも、色は決まって…黒だけ。
私に彩なんて、ない。
__治療が終わったようだ___
目がさめる。今日もきっと、斎藤先生の言葉は、「すみません、失敗です」だろう。
しかし、私のその予想は当たらなく…
「おめでとうございます、西名さん、治療が成功しました」
と言う一言。
斎藤先生が言う言葉には、嘘は無かった。
…だから、本当の事だと実感した。
「ただし、《色》を見れるのは一年だけ。君の年齢だと…中学三年生終業の頃だよ」
それでも、私は嬉しかった。
私の入った中学校、「椚ヶ丘中学校」に初めて行ける日が来るなんて、思いもしなかった。
小学校は一回も登校出来なかったから。
まあ、その中学校も、出席数が足りなかったから、特別強化クラス、E組に入らされたみたいだけどね。
「ありがとうございました」
とお礼を言い、私は黒い部屋から出た。
私が最初に見た色は、空の水色。
清々しい色で、光を浴びているような感じ。
私が夢で見た、黒だけの世界とは違う、もっと、華やかな世界。
私は、斎藤先生から貰った、学校への案内地図で、軽い足で学校へと向かう。
途中に華やかなお店とか、色々な施設があったけど、それは後回しにして、とにかく学校へ行くのが楽しみだった。
黒以外にも、こんな色があったなんて。
私は感心して、周りを色々見て学校へと向かった。
でも、周りの人達は「色」なんか気にせず、さっさと歩いて行ってしまう。
私みたいな、「黒」ばっかりの生活だったら、こんなにも華やかに見えるのに。
周りの人みたいな、「色」に囲まれてる生活だったら、華やかに見えないのかな?
まあ、当たり前、かな。
私は、気がつくとここに立っていた。
本来の「本校舎」暮らしだったらここから始まる場所に。
楽しみだな。
ここから、山を登ったら…E組だ!
続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←設定
ラッキーカラー
あずきいろ
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:〜小さい葉っぱ〜 | 作成日時:2016年6月23日 18時