男 女 逆 転 け ん か っ ぷ る

♂けんかっぷる8♂ ページ10

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「 …なぁ、俺みたいに女装してて、女々しい男って嫌い…？ 」
『 …バカ。……好き。 』



少しして抱き付く力が少し緩んだかと思えば、顔をあげていつもの彼からは想像出来ないような小さい声でぼそりと尋ねてくる。…なるもなるで、色々と悩んでいるみたいだ。

そんなことを考えながら、頬を少し染めて、正直な気持ちを伝える。好き とたった二文字言うだけでも、こんなに心臓がうるさい。


　


「 じゃあ、キスしてい…？ 」
『 ……。 』


返事をする代わりに、こくっ と小さく頷いて、ゆっくりと目を瞑る。いつになってもキスは慣れない。いつもドキドキしてしまう。




「 …肩の力抜いて ？ 」


いつの間にか知らず知らずのうちに自分でも体が強ばっていたらしく、耳元でそう囁かれる。…いつもの可愛いなると低音の声とのギャップがずるい。



　
そして、そっと頬を優しく撫でられ、そのまま頬に手を添えられる。

……と、柔らかい感触が私の唇に伝わる。なるの髪が当たってくすぐったいし、恥ずかしい。きっと、私の顔真っ赤なんだろうな…なんて考えながら、甘いキスを受け入れる。


　

それから、やっと唇を離したと思えば角度を変えて何度もキスしてくる。キス魔か、と声に出そうとしても代わりに出てくるのは、熱い吐息と、乱れる呼吸。


頭の中が真っ白になる。真っ白な頭では何も考えられず、ただただ、彼の愛情を受け入れることしかできない。



　
『 …ん…ｯは……！ 』
「 …その顔そそる。……誘ってるようにしか見えねぇけど。 」
『 誘って、ない…っ… ！ 』


乱れた呼吸を整えている私とは逆に、余裕そうな表情のなる。一方の私は、赤い顔で否定する。が効果はない……否、逆効果だったらしい。


　

視界が反転したかと思うと、目の前にはなるの顔。そして背中にはソファーの感触。
つまり、……私はなるに押し倒されている



『 ちょっ、なる…ｯ ！ 』
「 ……俺だって、ちゃんとオトコだってこと証明したい。だから、いいだろ… ？ 」


本当になるはずるい。
そうやって しゅん とした顔して、私がその顔されたら断れないの知ってるくせに。



『 ……痛くしたら、怒る。 』
「 できるだけ優しくする。…抑えられたらな。 」



いつもとは違った色っぽく妖艶な表情。その姿はなるのオトコの顔で、可愛さなんて欠片もない。


いつものなるが可愛い兎なら、今のなるは飢えた狼だろう。



　
「 じゃあ、いただきます。 」

＿今夜、兎の皮を被った腹ペコの狼に、食べられてしまうみたいだ＿

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