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約
束
だ
瞬間、彼女は目を見開いた。驚くような表情の後に笑った。雪の中に咲く花みたいに。
「＿＿ありがとう」
長居はできない。最後にその言葉を受け止めてこの場を後にした。
それが悲劇的で運命的な出会いだった。
そして、Aとの出会いはスティーブンを180度変えるような大事件だった。
あれから自分の力を暴力としてではなく、誰かの役に立つ為に使い出したのだ。
「重っ」
重い荷物を運ぶ。
力に頼らなずになんだってやった。
重労働だって。
彼女が売られるのはあと3ヶ月後らしい。
それまであの貨物船に通い詰めていた。
あたりまえだが、家の者は当然反発した。
どこへ遊びにあるいているのや、評判が下がるだろうとか。それでも反抗した。
「また来たの？ふふ」
嬉しいような表情を見せるAの前にいるのは服も砂ほこりで汚れたスティーブン。
彼女の元へ行くのが日課になっていた。
「見ててくれ！」
「ん？」
見ててと言われた場所をロシータは見つめた。するとスティーブンの足があるところから氷の柱がピキピキと音を立てて空中にまで伸びて来た。
「どうなってるの？すごいわね！」
パキパキと冷たい音を鳴らして先端が丸くなりだす。
「できた！これ君にと思って」
途中をパキリと折り、渡したのは氷で創り上げられた一本のバラだった。
「私に？！ありがとうスティーブン」
「大したことしてないさ」
「食べていい？」
「え？！君はこれを食べるのか？すごいなぁ」
「冗談に決まってるじゃない？」
あはは、と笑う。
やはり笑顔はちゃんと持っているのだ。そう感じさせられた。
「食べたら氷の針が喉に刺さってしまうよ」
スティーブンもつられて笑顔になる。
こんな人殺し、牙狩りでも人情はあるもの。
誰かと喋って見たかったんだ。
とっても馬鹿な話さ。
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作者名：ミクロ | 作成日時：2017年11月21日 19時
