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グレートガラシアの一件後は平和な日常が戻りつつあった。
しかし、あのギャンブルの地は崩落し今は無法地帯になっているかもしくはどこかの大富豪が買い取っているのかもしれない。
それは調べるまでもなかったが、とにかく今はAの容体ばかりが気がかりであった。




「A、僕はずっと前にも君に会ったことがあるんだ」



病室で横になっていて頷きはしなかったもののスティーブンの声は聞こえている。

明るい病室の窓にはツルの葉っぱが伸びて、グリーンカーテンができていた。




「君が記憶を無くしたのもなにもかも悪かったと思っている。すまなかった」




謝罪の言葉だけが部屋に響く。

"この世のすべての不利益は当人の能力不足"

スティーブンもまた何かを弱さゆえに無くしてしまった過去があった。
つい最近のように感じるそれは、ずっと胸のうちに隠しておくつもりだったのだ。




「っ......」




そのとき、思い切ってAはゆっくり目を開けた。
目を閉じているスティーブン。

すべての記憶を思い出したが、昔会った記憶なんてない。





「あなたに会った記憶は無いわ...ごめんなさい」

「なんだ起きてたのか。狸寝入りかい?いけないなぁ」




手の甲を頰に当てて肘をベッドにつく姿はやはりどこか色っぽい。




「昔って何年まえ?」




てっきり涙しているかと思いきやそうでもなかったらしい。余計な心配をしてしまったことに腹がたち少し怒った顔をするA。





「うーん。僕が17のときさ。まだまだ子供だったころ」





苦笑いを浮かべて恥ずかしげにした。その中には少し安心する気持ちがあったりなかったり。
少し昔々の記憶が蘇る。






「僕は血凍道家に生まれた後継。なんて言われていた時代だね...君にそっくりな人がいたんだ」





17歳。年齢からすると15か16年まえだ。
年齢的に会うというのはあり得ないが...
血凍道家の後継と言われていたのには感心した。



「君と同じ名前、見た目、話し方。まるで昔を思い出すよ。あ、それよりあの後何がどうなったのかとか知りたくないのかい?」

「あの後?......あっ!白眉はみんなは?!」



途中倒れる寸前まで戦った戦士達。
エリザベータとマシュー。ほかの吸血鬼はどうなったのか?気になることだらけだった。





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作者名:ミクロ | 作成日時:2017年11月21日 19時

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