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彼女を見送ってから数分後、私はハァと息を吐き出しその場を離れる。手の中にすっぽりと収まるサイズの小瓶はずっと冷たく、未だにライムとミントの香りを漂わせている。


(いらなかったから捨てても構わない……か)


 綺麗な瓶だ。

 捨てるというのも勿体無いと思い、人が少ないところに向かうと私は小瓶の蓋を開けた。辺りに爽やかな香りが広がる。


(確かモヒート、だったかな)


 記憶にはない。私はカクテルをあまり飲まなかったのかもしれない。

 一口飲んだ。

 ラム酒とブラウンシュガーは甘すぎず、ミントとライムがさっぱりと味を引き締めている。とても美味しい。

 私はそういえば、とポケットの中のチョコレートを取り出した。このままでは食べる機会もないまま捨てることになるかも知れない、と思いついでにと食べる。

 口内にチョコ特有のねっとりとした甘さが広がるがモヒートを飲めばそれさえもスッキリとした清涼感に変わる。私はあっという間に2つとも平らげてしまった。


(こんなにおいしいものを食べたのは久しぶりだな……)


 近くにあったゴミ箱にチョコレートの包み紙を捨て私は私自身の目的に向かう。

 ふと、さっきまで忘れていた幽霊屋敷でのことを思い出した。いろんな音楽や本、持ち運べるナイフなどを思い出すと今すぐに戻って取ってきたいところだが、これ以上体を千切られるのはごめんだ。


(しかし……)


 私は珍しくも過ぎてしまったことをぐちぐちと考えてしまう。それほどまでにどれも捨てるには惜しい。


(しかし、ナイフぐらいは手に入れておきたかったな……あれがあれば、仕事もいくらかは楽になるだろうに)


 そんなことを考えつつもポケットに手を入れる。すると指先を何かで切った。

 取り出してみると、そこには


「ナイフだ!!」


 私が幽霊屋敷で見つけたナイフが入っていた掃除屋と争っていた時にポケットに入ったのだろうか?


「なんにせよラッキーだ!これで仕事が楽になる!」


 途端に気分が良くなった私はトン、と地面を蹴り空へと飛び上がる。目指すはあのいけすかない女がいる寺。

 掃除屋の件に関して殺してやろうか、と思っていたがナイフが手に入ったことだし今回は見逃してやる。

 そして私は小瓶とナイフをポケットにしまいそのまま寺への道を急いだ。



◇◆◇
モヒート

【カクテル言葉】
心の渇きを癒して

デッドマンズQは吉良が死んだその後の話です
詳しくはwikiで調べてね☆

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人力車(プロフ) - 狂犬さん» コメントありがとうございます!そう言っていただければ嬉しい限りです! (2019年11月12日 12時) (レス) id: c2c8156d2a (このIDを非表示/違反報告)
狂犬(プロフ) - 面白いスタンドですね!とても勉強になります!(オリジナルスタンドを作る為の) (2019年11月9日 20時) (レス) id: 5579949a16 (このIDを非表示/違反報告)
手押車(プロフ) - とても面白いです!これからも更新待ってます! (2019年10月29日 7時) (レス) id: 9f1d144e77 (このIDを非表示/違反報告)
人力車(プロフ) - コメントありがとうございます!期待に添えるように頑張ります! (2019年9月23日 13時) (レス) id: 60356de8e5 (このIDを非表示/違反報告)
くとぅるふふっざけんな!(プロフ) - 最初の話読んでみて凄く面白かったのでお気に入り登録して続きを期待して待ってます(о´∀`о) (2019年9月23日 6時) (レス) id: b6db3cbd6d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人力車 | 作成日時:2019年9月22日 2時

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